岩手・盛岡市出身で鹿島MF小笠原満男(31)が25日、茨城・鹿嶋市内のクラブハウスで東北復興のかじ取り役となることを約束した。すでに宮城出身で日本代表のJ2東京DF今野泰幸(28)、秋田出身のJ2草津MF熊林親吾(29)らと連携を取り、東北出身Jリーガーを中心に、サッカー用品を被災地に届けるなどの支援を検討。送付ルートも自ら考え出した。この日、第1弾としてウエア、シューズなど段ボール104箱を母校の大船渡高に届けた。

 小笠原は鹿島が活動休止を決めた15日以降帰省し、母校や避難所5カ所を訪問した。惨状を目の当たりにし、「家や家族を失った人がたくさんいて、日本中でなんとかしようという状況の中で、自分も何かしたいと。今のところ、東北出身Jリーガー、岩手出身JリーガーOBたちと連携を取って、サッカー用品などの物資を被災地に届けようと思っています」と語った。

 震災で大きな被害を受けた岩手県大船渡市の大船渡高OB。被災者を励ます中で「物資は届いていると思うが、欲しいものが欲しいところに届いていない」と気付いた。そこで、「地元の人たちなら、どの避難所の方々が何を欲しいか情報をもっているはず」と、帰省中に県内のサッカー関係者と交渉。東北サッカー協会、大船渡高、高校時代の恩師斎藤重信氏が勤務する盛岡商などを届け先にして、教員、生徒らに協力を依頼し、物資を送付する手段を準備した。

 この日、小笠原が個人で送ったウエア、シューズなど段ボール104箱分が大船渡高に届いた。また契約するスポーツメーカーを通じ、段ボール40箱分のサッカー用品も27日に同高に届く予定。小笠原は「被災地を見て、グラウンドがなくなってサッカーを続けられない子どもたちも多い。サッカー人口が減れば、チームもつぶれてしまう。グラウンドの修復費用とか、東北サッカーの復興につながるような募金活動もしていきたい」と話した。

 一方、被災地の惨状に「1人でできることは限られている」と痛感。選手会の藤田会長(J2千葉)から「何かできないか」と相談を受けたことを明かし、今後は選手会との連携による支援も検討している。

 29日の慈善試合(大阪・長居)のJリーグ選抜に選ばれた小笠原はこの日、鹿嶋市内のグラウンドで、自主トレを始めた。「被災地の方々を励まそうと思って現地に行ったけど、逆に励まされて帰ってきた。被災した方も、援助する方も、みんな一生懸命。自分も全力でプレーしたい」と決意を述べた。【塩谷正人】