エースが3発をたたき出した。J2札幌は9日、札幌・宮の沢で札幌大と45分3本の練習試合を行い6-0で勝利した。MF古田寛幸(19)が今季実戦初ゴールを含め、3得点に絡む活躍で好調をアピールした。3月5日の開幕愛媛戦は右太もも裏の張りで欠場。チームは完封負けするなど得点力不足が課題だったが、貴重な攻撃のキーマンが着々とコンディションを上げてきた。

 ジャックナイフのような古田が戻ってきた。1本目6分、右サイドを素早くドリブル突破。鋭角にえぐるような右クロスをMFアンドレジーニョが頭で合わせると、バーに当たった跳ね返りをFW内村が押し込み先制点となった。2本目8分には、古田の右CKからMFブルーノが右足ボレーで合わせ2点目。3-0で迎えた2本目38分には、FW近藤の左クロスを自ら中央に走り込み、左足ジャンピングボレーでゴール右隅に突き刺した。

 1、2本目合わせて90分間出場し、流れとセットから1ゴールずつを演出。1点目は右足クロス、2点目は左足のCKと左右から的確な配球を見せた。今季実戦初得点も決めるなど上々の内容だったが「いや、まだまだ。1本目はもっとチャンスはあった。もっと詰めていくことがいっぱいある」と猛省した。

 結果だけでは、納得いかない理由がある。昨季までは攻撃のリズムを変える“スパイス”の役割で十分だった。だが、今季は真のエースとして石崎監督から「リズムを変えるだけでなく、自分で組み立てることも考えなさい」と高い要求を出されている。1本目は先制後、大学生相手に押し込まれる時間が長かった。司令塔として「どこでタメをつくるか、仕掛けるのかを判断して、流れを自分たちで引き戻せないと。ハーフタイムに監督に言われないと変わらないのでは去年と同じ」と課題を挙げた。

 副主将にも就任し精神的負担もあるが、エースの肩書に恥じぬよう居残りでクロスの練習に取り組むなど、ひたむきな努力を続ける19歳。古田と初めて実戦に出場したアンドレジーニョは「ドリブルがうまく速いね。(現ブラジル代表の)ネイマールみたいだ」と早くも信頼を寄せた。

 23日再開初戦の湘南戦へ向け、今はまだ試運転の段階。古田が残り2週間で、100%の状態に仕上げていく。【永野高輔】