<天皇杯:札幌2-3水戸>◇2回戦◇8日◇札幌厚別

 J2札幌は延長戦の末、水戸に惜敗し、08年以来3年ぶりの初戦敗退となった。勝利は逃したが1-1の後半40分に札幌U-18FW榊翔太(18)が、トップチームデビュー戦で初ゴールを決めるなど、初めて2種登録5選手が同時にピッチに立ち奮闘。石崎監督も昇格を争うリーグ残り10戦に向けた底上げに手応えを示した。

 ヤングパワーが躍動した。後半40分、MF岡本のスルーパスに反応した榊がDF裏に抜けだした。「岡本さんは動き出せば必ず出してくれる」。最後は左足で相手GKの股を抜く技ありシュートを決めた。榊以外にも荒野、前がボランチで、奈良がセンターバックで初先発しフル出場。後半途中からは右サイドバック小山内がトップチームデビューし、同じJ2の水戸相手に互角の戦いを披露した。

 クラブの理想とする姿が見えてきた。前、小山内は札幌U-12からの純粋な生え抜きで、セレクション初年度の03年入団。8年が経ちトップチームでプレーできる選手に育った。育成部門の幹部は「我々の役割が、少しずつ形になってきた」と話した。榊は清水町、奈良は北見市出身。全道的スカウティングで見いだされU-18から加わった。地道に発掘して育てあげた原石が、今やJ1昇格争いをサポートする役割を担えるまでに成長した。

 石崎監督も「課題はあるが前、荒野はうまくバランスをとりながらやれていた。榊も速さという武器を生かしてくれた」と及第点を与えた。昇格争いに欠かせないのが選手層。優秀な“ハイスクール5人組”も融合し、大目標へリスタートする。【永野高輔】