U-22(22歳以下)世代の若いストライカーが、「優勝請負人」を競う。ナビスコ杯決勝は今日29日、東京・国立競技場で行われる。28日、都内のホテルで前夜祭が開催され、9年ぶり4度目の王座を目指す鹿島のU-22日本代表FW大迫勇也(21)が、同杯3連続ゴールでの優勝を誓った。

 前夜祭に参加した大迫は浦和FW原口のMVP宣言にも落ち着いていた。「対戦は楽しみ。決勝なので気持ちが強い方が勝てる。決定的な仕事をして、ぜひ勝ちたい。明日は決めたいですね」と得点に意欲を見せた。今季リーグ戦は23試合4得点。だが、カップ戦ではめっぽう強い。昨年度の天皇杯は5戦3発で優勝に貢献。ナビスコ杯では準々決勝横浜戦、準決勝名古屋戦と連発して決勝に乗り込む。

 プロ3年目の今季、シュートレンジが広がった。得点意識が高まり、ミドルシュートが多くなった。大迫も「ゴールに向かう意識とか、動きには手応えがある」と振り返る。なぜかトーナメントには強く、08年度の全国高校選手権では6試合で史上最多の10得点を決め得点王となった。クラブ幹部は「高校時代から負けたら終わりの一発勝負での集中力がすごい」と話す。

 今季は原点回帰でシーズンに突入した。3月11日の東日本大震災後、チームは約2週間活動を休止。大迫は地元鹿児島に帰郷し、母校の鹿児島城西で自主トレを行った。恩師の小久保監督は「高校生相手でも手を抜かない。生徒にけがをさせないか、こっちが心配になるくらい全力でプレーしてくれた」と振り返る。

 相手の浦和には同世代のFW原口、MF山田ら若手が多い。大迫は「相手は関係ない」と話すが、小久保監督は「超がつくほどの負けず嫌い。ミニゲームでも勝つまでやるタイプ。同世代に負けたくないという気持ちは強いと思います」。「国立の芝が好き」という大迫が、元日の天皇杯に続き、聖地でのタイトル奪取に闘志を燃やす。【塩谷正人】