<J1:仙台4-0名古屋>◇第12節◇19日◇ユアスタ

 激しい定位置争いが、首位仙台の勢いを再加速させた。難敵名古屋相手に4発&完封の圧勝劇。MF梁勇基(30)が口火を切った意味も大きい。前半38分、エリア内でこぼれ球に鋭く反応して左足を一閃(いっせん)。開幕前の右膝負傷からの復活を予感させる今季初ゴールに「無心で振り抜いた。シュートがどこを通ったかも覚えていない」と興奮を抑えきれなかった。

 クラブ幹部に「仙台の宝」と形容され、サポーターに深く愛される生え抜きの背番号10。そんな絶対的な存在でも、ケガで出遅れ、好調なチームで機能できるか危機感を覚えていた。6日の清水戦で今季初スタメンを張るも、チームが初黒星。この日の試合後「自分自身、今日結果が出なければ、またベンチだと思っていた」と漏らした。

 梁起用で、今季4得点を挙げるなど攻撃のけん引役だったMF太田が先発を外れた。手倉森監督は「そういう競争があるのが、優勝を争うチーム」と言い切る。一方で試合前日には太田と1対1で話し合い、自らの考えをじっくり説明。「何も言わず(自由に起用を)やれればいいけど、今のオレにはできない」と、一体感を保つための気配りを欠かさない。3戦勝ちなしから5月初勝利。サバイバルを巧みにあおる指揮官も満足げだった。【亀山泰宏】