<ナビスコ杯:東京2-1清水>◇5日◇準決勝◇味スタ

 16年ぶり優勝を目指す清水が痛い1敗だ。好調のFW高木俊幸(21)が開始直後に痛めていた右太ももを悪化させて退場。前半23分にオウンゴールで先制して貴重なアウェーゴールを手にしたが、前半35分に同点を許し、後半35分には微妙な判定から与えたPKを決められ勝ち越された。第2ラウンドは10月13日にアウスタで行われる。

 キックオフの笛からまだ間もない前半10分過ぎだった。清水がいきなりアクシデントに見舞われた。試合前から右太もも裏に違和感を抱え、テーピングをして出場していたFW高木が、その右足を押さえて自らピッチを出た。メディカルスタッフ、ゴトビ監督と会話を交わすと下を向き、そのまま控室に下がった。同14分には代わってFW鍋田がピッチに送られた。今季、高木がゴールを決めれば無敵の連勝。前節札幌戦でも決勝点となる先制点を決めて好調を維持していた「点取り屋」を、早々に欠くことになった。

 16年ぶりの優勝まで残り2つ。イレブンは、この苦境に決して屈しなかった。同23分、ゴール中央でFKを獲得。キッカーのDF李がシュートを狙わずに柔らかいボールを送ると、新加入のFW金が最大の武器である頭で折り返し、オウンゴールを誘った。十分に直接狙える距離だったが、相手の意表を突く完璧なトリックプレーで先制点を奪取。第2戦に大きなアドバンテージとなるアウェーゴールを奪った。

 同35分に同点とされて迎えた後半、ゴトビ監督は「簡単にはいかない。精神的に強く集中していこう」と、もう1度気を引き締め直して選手を送り出した。同17分には、MF八反田に代えてMF石毛を投入。同26分にその石毛のクロスに金が飛び込み、同31分には石毛とのワンツーで抜け出したFW大前がループシュートを狙った。

 しかし、あと1歩のところで精彩を欠くと、同35分。DF河井がペナルティーエリア内で反則。PKを冷静に決められ、この1点が決勝点となった。09年に同じ準決勝で敗れた東京に先手を取られ、FW高木のケガという不安要素も残ったが、まだホームで迎える第2戦がある。オレンジサポーターの大声援を背に、逆転を狙いたい。【前田和哉】

 ◆清水が決勝進出の条件

 ホームで行う第2ラウンドで引き分け、黒星なら敗退する。アウェーゴールを奪ったことから無失点による勝利なら進出。1失点なら3得点以上の勝利で進出が決定、2得点なら前後半15分の延長戦を行う。2失点なら4得点で延長戦を行う。