<天皇杯:鹿島3-1磐田>◇15日◇4回戦◇カシマ

 鹿島は磐田を逆転で破り3-1の勝利。開始直後にDF岩政大樹(30)がミスから磐田FW前田遼一(31)に先制を許すも、わずか4分後に自ら失態を取り返すゴールを決めた。試合後は猛省しながら、負けた時点で退任となるジョルジーニョ監督(48)にささげる勝利。ナビスコ杯に続く2つ目のタイトルを視野にとらえた。

 勝利の喜びよりも、ゴールの快感よりも、凡ミスを猛省した。試合開始わずか14秒。クロスに対して岩政が痛恨のクリアミス。ボールを前田に頭で押し込まれた。しかし直後の前半5分、名誉挽回の場面が訪れた。右CKにこちらも得意の頭で同点弾。ただ「チームを救ったというより僕自身が救われました。90分通して気持ちが悪かった。今もスッキリしない。あれほどうれしくないゴールはない」。8強進出を決めた試合後も浮かない表情だった。

 しかし絶望感に屈しない強さが今の鹿島に、そして岩政にはある。開始直後、ミスからの先制点、しかも一発勝負の天皇杯で負ければ終戦。そんな不安材料が頭をよぎっても「自分の年齢と、チームでの立ち位置を考えればミスを重ねるわけにはいかない」。その上、献上したのが同学年の前田。「同い年だしよく話す。それに能力に任せるだけじゃなく、どうすればJや世界で通用するのか考えながらここまできたという意味で、同じものを(前田)遼一からは感じる」と意識してきた同学年の前で、下を向いていられなかった。

 退任するジョルジーニョ監督とともに、見据える先は今季2つ目のタイトル。「長くてもあと2週間。疲れはあるが1つになって決勝へいきたい」と上だけを見続けた。【栗田成芳】