ルーキーが激戦区サイドハーフの開幕先発候補に名乗り!

 J2札幌は、宮崎県総合運動公園陸上競技場でJ1仙台と練習試合を行い、MF神田夢実(18)のゴールで1-0で勝利した。神田は10日の水原三星から実戦3戦連発と、財前恵一監督(44)に猛アピール。昨季チーム得点王のMF古田、ベテラン砂川ら8人になる開幕スタメン争いが、一気に激しくなってきた。

 神田が絶妙な嗅覚で、仙台守備網を切り裂いた。前半8分、相手DFのバックパスを追いかけミスを誘発。反転してDFをかわすと、右足でゴール右に流し込んだ。「あそこは狙っていたら相手がミスしてくれた。結果が出るのは自信になる。今後も点を取っていきたい」。これで実戦3戦連発と存在感を示した。

 新人ながら、激戦サイドハーフの開幕リスト上位に浮上してきた。財前監督は「初めのJ1のプレッシャーの中、できていないところもあった。でも、ゴールを取るということは一番のアピールだよね」と評価した。熊本合宿中、同ポジションには8選手を起用も、Aチームで得点しているのは神田だけ。一気に先輩を押しのけ、開幕枠に食い込む可能性が出てきた。

 どうしても譲れないことがある。「深井には絶対に負けたくない。今は彼の方が実績も注目度も上だけど、プロで先に結果を出したい」と言う。同期のMF深井は11年のU-17W杯で世界8強に貢献。今季のトップ昇格組で最もクラブの評価は高いが、左膝痛から復帰したばかりとあり、この日はBチームの一員として金沢戦に出場した。神田はAチームの先発メンバーとしてゴール。ライバルに水をあけた格好だ。

 残り2週間。ここからが本当のレギュラー争奪戦になる。14日の長崎戦ではトップ下で出場も、相手DFにアプローチをかけるタイミングがつかめずMF河合に相談した。「河合さんから指摘されて、守備の意図をみんなで合わせられたのが大きい」。守備の課題を克服し、砂川、岡本、古田ら実績ある選手との差を少しずつ埋めていく。

 指揮官は「思ったよりは通用しているね。頑張ればシーズン通してやれる可能性は見せてくれた。ここからどうアピールしてくれるかだよね」と追い込みPRを要求。フレッシュな力が、着実に財前開幕リストに入りつつある。【永野高輔】

 ◆札幌のサイドハーフ事情

 熊本合宿で4試合を行い、同ポジションで起用されたのはMF砂川、岡本、古田、中原、神田、FW上原、三上、榊の8人。得点しているのは上原と神田の2人。上原はこの日、Bチームの一員として金沢戦に出場。Aチームに入ったサイドハーフ候補はMF砂川ら4選手いたが、今季実戦で得点しているのは神田しかいない。