遺恨を封印し、勝利に全力を注ぎ込む。仙台は今日26日、ブリラム(タイ)をホームに迎えてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初戦に臨む。昨年2月のタイ遠征では、主力2人がラフプレーによって負傷させられた。因縁の相手だが、25日、公式会見に出席した手倉森誠監督(45)とDF渡辺広大(26)は平常心を強調。中3日で控えるJリーグ開幕戦(対甲府)とダブルスタートダッシュを決めることしか考えていない。

 昨年2月の対戦では後ろからタックルを受けた梁が右膝を、競り合いで顔を蹴られた赤嶺が右目を負傷した。特に梁は3月の開幕に間に合わなかったほどの大ケガ。しかし、それについて聞かれた渡辺は冷静な反応を示した。「梁、赤嶺が負傷してしまったんですけど、プレー中のことなので、致し方ないと思う」と遺恨を否定。さらに「PKで負けたことを払拭(ふっしょく)するには、勝つしかない。そういった気持ちで熱く、勝利だけを目指していきたい」と雑念を排除して戦う覚悟を強調した。

 クラブ初のACL。だからこそ「リベンジか?」と問われた手倉森監督も同様だった。「そういった機会に巡り合えたとは感じている」としながら「それよりACLに初めて出られる喜びを感じ、思い切って挑みたい気持ちが強い」。あくまで、指揮官として純粋な気持ちを口にした。最後は得意のダジャレを繰り出す余裕も。公式練習は規定に沿って冒頭15分のみ公開したはずが、ブリラム側が全て公開したため「自分たちはACLが初めてで、公開練習は15分だけが普通と思っていた。公開しなかったことを本当に後悔しています」と笑わせた。遺恨マッチと呼ばれるには程遠い、リラックスムードに終始した。

 この日はボランティアを含めた約80人が午前6時から仙台スタジアムの雪かきを行い、公式練習、そして試合への準備を整えた。渡辺は「我々は地域の方々に支えられているということを、ひしひしと感じています」と感謝し、結果で報いることを誓った。「ブリラム戦とJ1開幕戦、2つ取れれば大きい」(手倉森監督)。3月2日の甲府戦との連勝で、まだまだ寒い杜(もり)の都を熱くしてみせる。【亀山泰宏】