<ACL:仙台1-0FCソウル>◇1次リーグE組◇10日◇仙台ス

 仙台が待望のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初勝利を挙げた。ホームでグループ首位のFCソウル(韓国)に1-0で勝利。前半16分に今季初先発のFW柳沢敦(35)が左CKに合わせて先制ヘッドを決めた。後半は相手の猛攻をしのいで逃げ切り、これで1勝2分け1敗。決勝トーナメント進出へ望みをつないだ。

 J1通算104得点の柳沢にとって記念すべき“ACL1号”だった。前半16分、左CKをニアサイドで合わせて右隅に流し込んだ。「ヨンギ(梁)があそこに入ってきてくれ、と。言った通りのボールが来て、ヨンギのゴール」とキッカーを持ち上げたが、一方のMF梁は「キレイに合わせてくれたヤナさんのおかげ」。屈強な外国人DFの前へ巧みに体を入れる技術とゴールへの嗅覚。今季初先発起用に結果で応えた。

 2月の初実戦でいきなり両太もも裏を痛めた。35歳。リハビリには細心の注意を払った。復帰はJリーグ開幕後までずれ込んだが、それだけ自分の調整に専念できた。背景にあったのが今季から導入された複数主将制。なでしこジャパンを参考に、手倉森監督が昨季まで2年連続で務めた柳沢に加え、梁、GK林、DF角田の4人を任命した。「ヤナギの負担を軽くしたい」(同監督)。狙い通り、徐々に状態を上げてきたベテランが大きな勝ち点3をもたらした。

 この日は角田がケガから復帰し、6日のJリーグで新潟に完敗した3トップから、慣れ親しんだ2トップに変更。手倉森監督が「(新潟戦と)間違いなく同じチーム」と笑ったほど、攻撃の迫力が増した。後半はレフェリングにも悩まされながら猛攻に耐えた。指揮官は「アジアで勝った歴史的な1日」と胸を張り、柳沢は「決勝トーナメントに行ければ、また新たなものが得られる」。1勝に浮かれず、貪欲に上を目指す。【亀山泰宏】