ホームで歴史をつくる。仙台が25日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)ブリラム戦のドローから一夜明け、仙台に戻った。劇的なロスタイム同点弾で望みはつないだものの、DF角田誠(29)が2枚目の警告を受け、石川直樹(27)も右膝を負傷交代と小さくない代償を払った。全てが決まる5月1日のホーム江蘇舜天戦。手倉森誠監督(45)が必勝を誓った。

 選手たちは24日の試合後、チャーター機でバンコクまで移動して1泊し、この日、成田経由で約1週間ぶりに仙台へ帰ってきた。手倉森監督は「やっと戻ってこれたな」と息を吐いたのも一瞬「ここからだ」と気合を入れ直した。28日には鳥栖戦、そして中2日で江蘇舜天戦。日中のフィジカル自慢との対決が詰まっている。

 中原のスーパーボレーで勝ち点をもぎ取ったブリラム戦は痛い犠牲も払った。後半、センターバック石川が右膝を負傷。もともと痛めていた箇所でもあり、同監督も「検査してみないと分からない」という状態。25日も松葉づえ姿で帰国した。さらにリスク覚悟で守備の人数を減らした結果、体を張って奮闘した角田が1次リーグ2枚目となる警告を受けた。江蘇舜天戦は出場停止。失意のはずの角田は「最後は出られへんけど、みんなに任せる気持ちで、とにかく練習から意識を高くしてやっていきたい」と責任感の強い男らしく顔を上げ、全力のサポートを約束した。

 「2人のためにも勝たなくてはという気持ちは?」。そう問われた指揮官は、無言のまま力強くうなずいた。ACL初出場での決勝トーナメント進出がかかる大一番。勝ち点で並ぶブリラムより試合開始は30分早い午後7時。常識的には仙台の状況を確認しながら戦えるブリラム有利だが「勝ってプレッシャーをかければいい」と意に介さない。とにかく、勝利あるのみ。「サポーターとともに戦い抜いて、クラブの歴史をつくっていきたい」。2013年5月1日を、ベガルタ史上に刻む夜にする。【亀山泰宏】