指揮官のため、サポーターのため、そして自分のために、勝ってのし上がる。仙台は今日1日午後7時30分、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のホーム江蘇舜天戦に臨む。同時刻開始のFCソウル-ブリラム戦(ソウル)を含めた結果で決勝トーナメント進出が決まる1次リーグ最終戦。MF梁勇基(31)は4月30日の公式会見で、同27日に母朝子さんを亡くした手倉森誠監督(45)にささげる勝利を誓った。

 梁の執念が垣間見えた。この日不在の手倉森監督の代役を務めた渡辺コーチとともに出席した公式会見。母を亡くした指揮官への思いを聞かれた。「とにかく勝つことが一番、自分たちが求めていること。監督のお母さんがお亡くなりになられたという部分でも、勝って決勝ラウンドに進めれば。勝ちに飢えているので、そういう思いを表現できればいい」。今日1日の午後6時から青森で営まれる朝子さんの通夜には出席せずに指揮を執る予定の同監督へ、同じ言葉を何度も繰り返した。勝つ。飾り気はなくても、それに尽きる。

 北朝鮮代表として国際経験はチームでも豊かな方だが、ベガルタの一員として臨むACLには特別な思い入れがある。「中国でやった時とか、代表戦とはまた違う感動みたいなものがあった。自分の中で今シーズンの1つの目玉というか、楽しみにしていた部分でもあるしね」。そして、初出場ながらベスト16が手の届くところにある。「明日の試合は上がるか、落ちるか。クラブとしても個人的にも(上に)行くと行かんとでは大きく違う。こういうチャンスは、そうそう来るもんじゃない。つかみ取りたい」とまくし立てた。

 勝ち点6で並ぶブリラムと同時キックオフ。ベンチワークはソウルでの試合の展開を確認しながらになるが、ピッチに立つ梁の思考はシンプルだ。「もちろん冷静さは必要だけど、0-0なんかで(終盤に)いったら、パワープレーで何が起こるか分からないでしょ?

 引き分けでも行ける可能性があるとか抜きにして、とにかく勝つことだけ。出し切りますよ」。大黒柱は、完全燃焼を約束した。【亀山泰宏】

 ◆E組の行方

 勝ち点10の首位FCソウルは1位突破が決定。2位争いは混戦で、仙台とブリラムが勝ち点6で並び、江蘇舜天が同4。複数のチームが勝ち点で並んだ場合は以下の順で順位を決定する。

 (1)当該チーム間の勝ち点(2)同得失点差(3)同総得点(4)1次リーグ全試合の得失点差(5)同総得点(6)当該チームが2チームだけで、その上、最終節がその2チームの対戦の場合はPK戦(7)イエローカード、レッドカードの枚数の少なさ(8)抽選。

 仙台とブリラムの直接対決は2分けで、(5)まで並んでいる。(6)はないため、仮に最終節で両チームが同スコアで勝利か引き分けの場合、(7)以下で2位を決める可能性がある。ちなみに仙台はこれまでイエロー7枚、ブリラムはイエロー16枚、レッド1枚。