J2札幌の新ベトナム人FWレ・コン・ビン(27)が今日11日の横浜FC戦(札幌厚別公園競技場)でベンチ入りする。試合前日の10日、財前恵一監督(45)がメンバー18人に入れることを明言した。東南アジア人初のJリーガーが、北海道で歴史的な1歩を踏み出す。

 ベトナムの英雄が、ついにJのピッチに立つ。この日の札幌・宮の沢での練習後、ストレッチから腹筋へと続く試合前の“儀式”を終えると、最後は若手選手とゴールの片付けにも参加した。助っ人であっても気持ちは“ルーキー”だ。初陣に向け「ベトナム人初の試合。簡単なことじゃない。出るかどうかは監督が決めることだが、出たら札幌が勝つために貢献したい」と意気込んだ。

 チーム練習に参加したのはわずか4日。コンディションに問題はないが、連係面で詰める時間が浅く、ベンチスタートとなった。それでも財前監督は「攻撃面の良さがあるのでメンバーには入れる。相手の出方や試合展開次第で、起用を考えたい」と、勝負どころでのオプションとしてイメージした。

 気持ち高ぶる出来事があった。この日朝、練習前にクラブハウス玄関前で日本人サポーター2人に、赤字に黄色の星印が入ったベトナム国旗を広げて出迎えられた。「とてもうれしかった。日本人は本当に優しい人たちが多い。早くスタジアムでサポーターに会いたいよ」。まず札幌厚別でデビューし、母国サッカーのレベルを日本のファンにアピールする。【永野高輔】