<J2:札幌2-0横浜FC>◇第28節◇11日◇札幌厚別

 ビン出なくてもフェホがいる!

 札幌は横浜FCに勝ち、クラブ史上初となるホーム5戦連続完封勝利となった。0-0の前半21分に、本拠地初先発のブラジル人FWフェホ(28)が、右足でJリーグ初ゴールを決め、2戦ぶりの勝利を呼び込んだ。勝ち点を41に伸ばし、プレーオフ圏6位との勝ち点差は4となった。

 J2最長身、197センチの助っ人が手足の長さを生かし、貴重な決勝弾をたたき込んだ。0-0の前半21分、DF日高からの縦パスに反応すると、長いストライドを生かし、数歩で並走していた横浜FCのDF渡辺を振り切った。

 「オレのスピードならかわせると思っていた。あとはクロスにうまくシュートが打てたのが良かった」。右サイドから流し込んだシュートは、狙い通りGK脇を抜けゴール左隅に吸い込まれた。得点直後に脱水症状、後半10分には左太ももをつり途中交代するなど最後はボロボロだったが、しっかり仕事はやり遂げた。

 「ホームで初得点できてうれしい。みんなの応援のおかげさ」。指揮官の狙いがはまった。財前監督はフェホの起用について、高さより手足の長さと威圧感、シュート精度を強調していた。「大きい選手が追ってきたら相手DFが嫌がる。そういう効果もある。シュートも枠を意識している」。期待通り前線での速さと、リーチが生き、ヘッドではなく右足シュートで、ホーム5連勝につなげた。

 チームでは“ベトナムの英雄”の相談役を担っている。FWビンが09年に在籍したポルトガルのレイションイスSCに、フェホも10年に在籍していたことがきっかけで意気投合。互いに英語が使えるため、ポルトガルの話題で盛り上がり、今は札幌の気候や街の様子を、積極的に教えるようになった。「言葉が分かる人がいると心強い。互いにJで活躍できるよう刺激しあいたい」と前を向いた。

 この日は、そのビンが東南アジア人として初めてベンチ入りしたこともあり、今季厚別最多の8756人が集まった。試合前にはベトナム国旗が広げられるなどベトナム色たっぷりだったが、王国ブラジル人助っ人として負けてはいられない。ナチア夫人(25)と長女マリアちゃんが今月末に来日するが「家族が来る前にファーストゴールを決めたかった。まずは良かった」と前を向いた。7月に加入した“先輩助っ人”が、貪欲にゴールを積み重ねていく。【永野高輔】