<J1:浦和4-3大分>◇第21節◇17日◇埼玉

 浦和が3点差をひっくり返し、大分に大逆転勝ちした。前半20分までに0-3も、前半に1点、後半3点をたたき込んだ。劣勢をはね返した要因は、ミハイロ・ペトロビッチ監督(55)の絶妙な手綱さばきだ。

 16日の練習後、ピッチ上で円陣を組んだ。「去年は札幌に負けて優勝できなかった。大分戦はそれと似ている」。昨年10月6日、ホームで降格が決まった札幌に1-2で敗れ、優勝は遠のいた。苦い思い出を引き合いに、檄(げき)を飛ばした。

 試合は懸念通り、序盤で3失点。ハーフタイムには前日以上の雷が落ちてもおかしくない。だが監督は冷静だった。「3点は仕方ない。攻撃は良くなっている。やるしかないがバランスは崩すな」。選手たちは逆転を信じて興奮状態だった。「優勝したくねぇのか」「やるしかねぇぞ」。お互いの話は耳に入らない。だからこそ監督は前向きに、かつ指示はシンプルにした。

 試合後の会見では余裕だった。「3失点の要因は聞かないのか?

 答えは用意してますよ。『4点取るために3失点した』と言うつもりだった」と豪快に笑った。選手の雰囲気を感じ、“冷静と情熱のあいだ”で絶妙なさじ加減を見せた采配が勝ち点3に結びついた。【高橋悟史】

 ▼3点差逆転勝ち

 浦和が大分戦で0-3から逆転勝利。J1リーグ戦で3点差逆転勝ちは、C大阪が11年9月10日の広島戦で記録して以来、通算8度目(4点差逆転は過去になし)。そのうち浦和は最多3度も3点差逆転負けを喫しているが、3点ビハインドをひっくり返したのはクラブ史上初。