古田スクランブル出動!

 右内転筋肉離れで離脱していた札幌MF古田寛幸(22)が16日、今日17日の岐阜戦(長良川)メンバーに入った。岡本、荒野、榊ら攻撃陣に負傷者が続出。この日、完全合流したばかりだが、3月31日のG大阪戦以来8カ月、35戦ぶりの公式戦ベンチ入りとなった。財前監督は勝負どころの得点源として期待。15番の復活弾で、6位以内のプレーオフ圏入りを狙う。

 土壇場でチャンスが巡ってきた。この日の戦術練習で古田は、遠征組に交じり、キレのあるドリブルを披露。全体練習後はチームメートから離れ約10分、1人黙々とターンのチェックに励んだ。勝てばプレーオフ圏入り、負ければ終戦の可能性がある大事な試合に向け「持ってる力を精いっぱい出し、勝ちにつなげたい」と前を向いた。

 状態は100%ではないが、気持ちで勝利を呼び込む。サイドハーフは岡本が左膝痛、荒野が右太もも裏痛、榊が右足首痛で離脱。攻撃陣の選手層が手薄になり、財前監督がこの日朝、古田のメンバー入りを決めた。指揮官は「守られて、どうしても厳しくなったとき、あのドリブルは生きる。ボールを持ったら全部勝負してもいい。準備しておくよう伝えた」と話した。残り2戦での戦列復帰に古田は「どうしても可能性があるときに戻って、チームに貢献したかった」と強い口調で言った。

 3月31日のG大阪戦で、レアンドロのミドルシュートをブロックした際、左膝外側半月板を損傷。プロ4年目で最も重い全治4~6カ月の診断を受けた。手術後約1カ月間、恐怖で試合の映像を見直すことすらできなかった。トラウマ克服後も試練は続いた。10月9日に約5カ月ぶりに合流も、3日後に再負傷。11月2日に再合流し、4日の札幌大との練習試合で7カ月ぶりに実戦復帰し1得点1アシストと気を吐いた。だが、7日の練習で今度は右内転筋を痛め、この日、再合流したばかり。通常、負傷選手は練習試合で状態を確認後、公式戦起用するが、勝負の一戦を前に、指揮官も異例の断を下した。

 崖っぷちの戦いになるほど、燃える男だ。鳥栖、徳島と三つどもえの昇格をかけた11年の最終東京戦は、先制アシスト、決勝起点と、内村の全2ゴールをお膳立てした。「2年前のような意味のある試合にする。プレーオフを決める戦いにしたい」。J1舞台に戻るため、古田が体を張って、ゴールをこじ開ける。【永野高輔】

 ◆札幌のプレーオフ圏進出の行方

 今節、6位徳島が東京Vに負け、7位札幌が岐阜に勝った場合のみプレーオフ圏浮上の可能性がある。その場合、8位松本が長崎に勝った場合、勝ち点63で並ぶため得失点差の争いとなる。現在、札幌がプラス8、松本がマイナス2のため、松本が大差で勝たない限り札幌が6位浮上。札幌が負けた場合は、徳島が勝利した時点でプレーオフ進出が消滅。札幌が引き分けた場合、6位徳島が勝ち、5位千葉が引き分け以上だと、プレーオフ圏進出の可能性がなくなる。