<J2:札幌0-0北九州>◇第42節◇24日◇札幌ド

 無念のドローで終戦-。札幌は北九州と引き分け、勝ち点64の8位に転落し、6位以内のJ1昇格プレーオフ(PO)進出権を逃した。後半26分に途中出場のFWレ・コン・ビン(27)が、直接FKを狙うも右ポストにはじかれ無得点。その後も、守備を固める相手を流れから崩すことができず、勝てばほぼ確定していたPO圏を逃した。守備陣は4連続完封と安定したが、来季に向け攻撃面で課題を残した。

 わずか数センチの差で、プレーオフが逃げていった。後半26分、荒野がペナルティーエリア近くで倒されFKを得ると財前恵一監督(45)は、急いでビンを投入した。今季最多2万4813人の大歓声を受け登場したベトナムの英雄は早速、ボールを受け取ると、ゆっくりとセットした。ゴール正面、約17メートル。「狙っていた。決まったと思った」と放ったこん身の右足シュートは、ゴール右ポストを激しくたたき、外にこぼれていった。

 決定的なチャンスは、前半37分の内村のシュートと、ビンのFKぐらいだったが、1発決まっていれば状況は一変していた。後半途中からDF上原とフェホの長身コンビを前線に入れ、パワープレーで打開を図ったが、それでも1点が遠かった。財前監督は「最後までブロックが崩せなかった。パワープレーでも得点できなかったのは自分の力不足。大勢のファンが見に来てくれた中、結果を出せず申し訳ない」と悔やんだ。

 勝ち点2、届かなかった。主将のMF河合竜二(35)は「悔しいけど、この状況をつくってしまったのが1年の課題。勝てた試合を落としてきた結果」と言った。浮上チャンスは何度もあったが、結果的に6位以内に入ったのは、開幕戦後の5位だけ。今回同様6位と勝ち点1差で臨んだ9月1日の岡山戦は、先制された後に一度は逆転しながら追いつかれた。取りこぼした勝ち点を、しっかり確保していれば、PO圏に入れていた。

 課題ははっきりした。09年以来4年ぶりの4戦連続完封と守備面は計算できてきた。攻撃陣は、千葉、神戸など攻めてくる相手には、受けながら攻め手をつくるも、北九州のように守備的な相手を、揺さぶって確実に崩しきるまでには至らなかった。MF荒野拓馬(20)は「あと1歩で勝てない、点が取れないのは力がないということ。レベルアップが必要」と反省した。

 クラブは来季、河合、内村ら主力を含め、ほぼ戦力を残したまま、補強を加える方針。荒野、三上ら若手も成長しており三上GMは「来年が勝負の年になる」と言った。痛恨ドローをバネに、進化の14年につなげていく。【永野高輔】