<J1:甲府1-1新潟>◇第3節◇15日◇中銀スタ

 身長189センチの甲府FW盛田剛平(37)の頭が最高点に達した。0-0の前半32分にFWクリスティアーノの右足クロスに合わせた。目いっぱい跳び上がりニアサイドの制空権を完全に握る。高さがあれば力はいらない。頭で捉え、柔らかく弾んだ球はゴールに吸い込まれた。プロ16年目でFWとしては10年ぶりのゴール。しかも、大雪に見舞われた影響でようやく迎えた本拠地での今季初得点。「やっと帰ってこれた」と喜びもひとしおだった。

 FWにもチームにも、「出戻り」した。プロ入りした浦和ではFWでプレーしたが、広島時代の06年にヘディングの強さを買われDFへコンバートされた。12年に加入した甲府でもセンターバック。1年目こそ25試合に出場してJ1昇格に貢献したが、昨季10試合にとどまると契約満了となった。だが、チームの補強が思うように進まず、年末に再契約を結んで出戻った。城福監督が思い描いていた「オプションの1つ」というFW復帰プランが3戦目ではまった。

 そんな紆余(うよ)曲折を経ての活躍に盛田は言う。「契約解除になって、再契約して、ゴールも決めるなんて。こんな笑えるような面白い話はない。おっさん頑張ってます」。目尻を下げて笑い飛ばした。37歳8カ月2日でのゴールはJ1歴代年長9位というおまけ付き。今季初勝利こそ逃したものの、今の甲府に「FW盛田」は欠かせない。【栗田成芳】

 ◆盛田剛平(もりた・こうへい)1976年(昭51)、名古屋市生まれ。神奈川・桐蔭学園から駒大へ進学。3年時にはユニバーシアードイタリア大会出場。複数クラブによる競合の末、99年に浦和へ加入。期待されながら2年間無得点のまま01年にC大阪、川崎Fと移籍し、02年大宮入り。04年に広島へ。12年から当時J2の甲府へ。家族は夫人と2男。189センチ、86キロ。血液型A。