<ACL:広島2-1FCソウル>◇1次リーグF組◇19日◇エディオンスタジアム広島

 F組の広島がDF塩谷司(25)の決勝弾で今季ACLで初勝利を飾った。前回大会準優勝のFCソウルに快勝。昨年から続いたACLでの未勝利を8試合でストップした。塩谷はACL2戦連続得点。今季はリーグ戦、ACLの公式戦6試合で4得点目。DFながら攻撃でも絶好調だ。1勝1分け1敗で2位に浮上、決勝トーナメント進出へ望みを広げた。

 同点に追いつかれた後半33分、MF高萩とのパス回しで抜け出したDF塩谷のループシュートが決まった。「ゴールしか見えていなかった」とGKの動きを冷静に判断した決勝弾だった。

 DFだがリーグ開幕2戦連続決勝点を決めた。ACLでも11日のアウェー戦で先制ゴール。この日、2戦連続ゴールを決めた。今季公式戦6試合4得点と絶好調だ。今季から髪を金色に染めた。試合後のヒーローインタビューでは好調の理由を聞かれ「金髪ですかね」と会場の笑いを誘った。

 FW陣を上回り、現在チームの得点王。この日はチーム最多の3本のシュートを放った。「『思い切ってプレーしていい』とみんなからも監督からも言われている。のびのびプレーさせてもらっている」と明かした。DFだが点も取れる。チームにとっては大きな武器だ。塩谷は「(今季は)5点が目標だった。1つずつ積み重ねていこうと思っている」。

 リーグ2連覇の王者の強さをアジアにも示さなければならない。昨季もACLでは勝てなかった。この日の勝利でACL未勝利は8でストップ。ホームで悪い流れも断ち切った。森保一監督(45)は「次につながる勝利だった。1次リーグを突破できるよう1戦1戦、戦っていきたい」。

 チーム内で競争意識も高い。DF塩谷を慕うMF野津田は「塩君とは何点とれるか競っている」。FW浅野も「攻撃陣の僕らがもっとゴールを取らないと」と気を引き締めた。

 アジア初勝利の指揮官は「勝利という結果を得ることは誰が出ても相手チームを上回っていけるという自信につながる。今日勝ったことでチームとしてまた1つの自信になった」と胸を張った。リーグ3連覇とアジア制覇へ。総合力を武器に勝ち進んでいく自信をつけた。【辻敦子】

 ◆塩谷司(しおたに・つかさ)1988年(昭63)12月5日、徳島県生まれ。徳島商-国士舘大。高校1、2年時にMFとして選手権に出場。大学時代にセンターバックにコンバート。11年水戸に入団。一昨季シーズン途中に広島に移籍し、リーグ優勝に貢献。昨季はリーグ全34試合に先発出場し、3得点。182センチ。80キロ。

 ◆DFの「点取り屋」

 Jリーグでは名古屋DF闘莉王がJ1通算64得点でDF登録選手の歴代最多得点者。2位が千葉DF山口智で37得点、3位が昨年まで鹿島でプレーしたDF岩政大樹で35得点。闘莉王は64点のうちヘディングが半分以上の38点。山口も37点中25点、岩政も35点中25点が頭。DFで得点の多い選手は、セットプレーのクロスボールを頭で合わせるケースが多い。日本代表では横浜DF中沢の17点がDFの最多得点記録。