<J2:大分1-0札幌>◇第7節◇13日◇大銀ド

 エース不在が響いた。札幌は大分に敗れ、3月16日の湘南戦以来4試合ぶりの無得点負けを喫した。前半立ち上がりの8分に失点し、守りを固める相手をこじ開けられず初の連勝を逃した。クラブはこの日、内村圭宏(29)が右太もも裏の肉離れで全治3~4週間と診断されていたと発表。得点源の約1カ月の離脱が濃厚で、自動昇格圏を狙うには、新たな攻撃の形をつくる必要性が出てきた。

 圧倒的にゲームを支配した札幌だったが、最後の決め手に欠いた。0-1の後半ロスタイム4分、MF菊岡の右クロスに、背後から上がってきたGK李が頭で合わせるも、ボールはゴール上に外れていった。「ベンチからのサインが出ていた。フリーだったし狙っていたのに」。12年3月24日のJ1浦和戦以来2年ぶりとなる守護神の決死のシュートも、勝ち点をたぐり寄せることはできなかった。

 「後半は押し込んでいたが、最後の崩しの精度が足りなかった」と財前恵一監督(45)。内村の負傷欠場を受け、初めて先発に187センチの長身FW都倉を起用も、序盤にリードを許し、守りに入られたことで攻め手が限られた。「セットプレーのキッカーを入れてチャンスを増やしたかった」と後半開始にMF菊岡を投入。残り10分で190センチのFW丁を投入し、長身の都倉、丁、上原慎の頭に合わせる策に出たが、枠をとらえることはできなかった。

 引いた相手を、どう崩すかは昨季からの課題。2戦連発を逃した都倉は「攻撃に厚みがなく、単発で終わることが多かった」と振り返った。前節松本戦は前線の都倉にボールを入れた後のこぼれ球をうまく拾い、連動した攻撃につながっていた。この日は、ロングボールやクロスをゴール前に入れるも、相手に奪われてカウンターを仕掛けられることが多く、チャンスがふくらまなかった。

 エース内村の不在を、どう補うかが、今後1カ月を乗り切るポイントになる。得点力不足は明確で、自動昇格圏の1位湘南21点、2位長崎16点に比べ、札幌は7戦でわずか7点。指揮官は「ゴール前への入り方や、試合終盤のゴール前の精度をトレーニングで上げていきたい」と言った。

 次の1カ月は群馬、岡山、東京V、栃木、熊本、愛媛と対戦する。栃木以外は10位以下の下位。順位を上げるには、どんな守備的な相手をも打開し、勝ち点3をもぎ取れる高い決定力が求められる。【永野高輔】