<J1:浦和3-1柏>◇第24節◇20日◇埼玉ス

 浦和が3連勝で首位固めに入った。前半21分、MF柏木陽介(26)のFKを起点に、DF那須大亮(32)が右クロスを頭でたたき込んで先制した。得意のセットプレーが決まって勢い付き、28分には柏木が中央突破して加点。2-1の後半10分には興梠がPKを決めて突き放した。公式戦3連敗中だった柏に3-1と快勝した。これで優勝した06年以来となる4試合連続の3得点以上。攻撃が機能し、死角は見当たらない。

 浦和が盤石の内容で苦手の柏を下した。勢いに乗せたのはMF柏木の機転の利いたFKだった。前半21分、ゴール前約35メートルの位置から単純に放り込むのではなく、右のMF平川へ展開。平川は迷いなくクロス。走り込んだDF那須が頭で合わせた。那須は「平さんがトラップした瞬間に来ると思った。イメージ通り」と笑顔を見せれば、柏木も「ゴール前へ入れるのはまったく考えてなかった。あれが左サイドのウガ(宇賀神)だったら左足クロスは期待してないけど右の平さんだったから」と笑わせた。

 前節までセットプレー(3プレー以内)のゴールは11点でリーグトップタイ(データスタジアム調べ)。この日も口火を切ったのは、全員のイメージが合致したセットプレーだった。だが普段、セットプレーに特化した練習はしていない。紅白戦の流れの中でCKをやるだけだ。相手に合わせた練習を繰り返し、非公開にして入念に行うチームもある中、浦和は「即興」で決める。だから相手も傾向がつかめない。

 DF槙野は「(柏木)陽介のボールがいいってのが1つ。あとは1回目のセットプレーで、相手のマークなどを確認して様子をつかむ。ミーティングとかはほとんどやってない」と証言する。前半21分の先制点は3度目のセットプレー。2度の“失敗”を生かした。

 ペトロビッチ監督(56)は「いかに相手の守備を崩すかという練習をしている。いかに相手を止めるかという練習はしていない」と言う。植え付けているのは、攻撃のアイデアを豊富にすること。それは流れの中だけでなく自然とセットプレーにもにじみ出る。だから即興で合わせることが出来る。

 2点目は興梠-李-柏木とつないで最後は柏木の個人技で崩した。そして3点目はPK。キッカーは阿部だが「自分から志願した」興梠が冷静に決めた。リーグ優勝した06年以来の4試合連続3ゴール以上。2位との勝ち点を6差に広げて残り10戦へ。終盤へはずみをつける快勝だった。【高橋悟史】

 ▼連続試合3得点以上

 浦和が第21節から4試合連続3ゴール以上。3得点以上を4試合続けたのは、優勝した06年の第2~5節以来チーム8年ぶり3度目。3得点以上のJ1連続試合記録は95年に平塚(現湘南)がマークした7試合連続。