<J1:G大阪2-0C大阪>◇第24節◇20日◇万博

 好調G大阪が3年半ぶりに大阪ダービーを制し、3連勝を飾った。本拠地でC大阪に快勝し、5位をキープ。前半37分にエースFW宇佐美貴史(22)の絶妙ラストパスをMF阿部浩之(25)が決めて先制。視察した日本代表アギーレ監督(55)の前で、代表復帰を狙う宇佐美が全2得点を演出、無印男の阿部も躍動した。

 燃える材料がそろっていた。今季最多となる1万9569人超満員に膨れあがった本拠地。相手は宿敵C大阪だ。しかもVIP席には、日本代表アギーレ監督が鋭い眼光を光らせていた。前半37分。遠藤からパスを受けた宇佐美は、自らにマークが集中すると思考回路を切り替えた。御前試合で点が取りたい思いを封印。わずかな隙間を見つけると、DFラインぎりぎりで飛び出した阿部にラストパスを送った。

 「ちらっと見たら(DFの)下が空いていた。阿部ちゃんも動きだしていたんでね。イメージ通りっす」

 宇佐美の即座の判断が絶妙アシストとなり、先制ゴールを呼び込んだ。関学大から入団3年目の阿部は、得点場面だけでなくサイドで相手の攻撃も寸断。アギーレ監督好みの攻守の切り替えの速さ、運動量、さらに得点力を見せつけた。長谷川監督も「素晴らしい。いい働きをしてくれた。こういうプレーを続けていれば(代表選出の)可能性は十分にある。そのレベルにいる」と褒めちぎった。

 スター候補生の宇佐美と、無印男の阿部に導かれるようにして、破竹の勢いで3連勝だ。序盤戦はJ2降格圏16位をさまよいながら、W杯中断明け後は8勝1分け1敗。2人とも代表入りの自我を押し殺し、フォア・ザ・チームに徹することで結果が伴ってきた。今季のC大阪戦で2戦3発の“ダービー男”となった阿部は、宇佐美と並ぶチーム最多の今季通算7点目。「そんなこと(代表入り)は考えず、ガンバでコツコツ頑張るだけ」。タレントの蘭夫人が見守る前で追加点の起点にもなり、全2点に絡んだ宇佐美も「点を取るのがベストだけど(アギーレ)監督にアピールするためにプレーするわけじゃない」とサラリと言った。

 リーグ戦では11年3月5日以来、3年半ぶりの大阪ダービー勝利で5位をキープ。低迷する宿敵に力の差を見せつけ、優勝争い参戦はもう目の前だ。宇佐美は後半39分に最終ラインまで戻り、体を投げ出して3戦連続完封にも貢献した。「死ぬ気でボールを取り返そうと思った。ゼロに抑えて勝てて良かった」。充実した戦力で目指すは大逆転V。その先には代表入りが待っている。【益子浩一】