<J1:仙台4-2浦和>◇第28節◇18日◇ユアスタ

 仙台がホームで浦和を破り、5月以来の連勝を飾った。前半19分にFWウイルソン(29)が先制点を決めると、3分後にはMF野沢拓也(33)が右足で移籍後初ゴール。2-2の後半16分にFW赤嶺真吾(30)の2試合連続得点で勝ち越し、終了間際に途中出場のDF村上和弘(33)のシュートで勝利を決定づけた。新戦力も融合して持ち味のハードワークを取り戻し、首位から貴重な勝ち点3を奪った。

 首位撃破に導いたのは、仙台を救うためにやってきた男たちだった。1-0の前半22分、右サイドに流れたウイルソンのクロスを、ゴール前に走り込んだ野沢がダイレクトで合わせた。足を振り切って浮かせてしまうリスクを避け、丁寧に右足の裏に当てて決めた技ありの移籍後初ゴールに「相手が真吾(赤嶺)につられて空いたスペースに入りこめた。チームが勝つために点が取れてよかった」。優れた状況判断と抜群のテクニック。野沢の長所が凝縮された一撃だった。

 ゴールラッシュの締めくくりは、7月に仙台に戻ってきた村上だ。後半43分から右サイドハーフで投入されて迎えた試合終了間際。1人目を右足で浮かせて抜き去り、2人目も鮮やかにかわして左足で決めた。試合後は「トラップミスからだし、おまけです」と笑ったが、勝利を決定づける8年ぶりのユアスタでのゴールに喜びを爆発させた。

 屈辱の敗戦から半年、見事なリベンジを果たした。4月6日、敵地に乗り込んだ仙台は崩壊していた。チームとしての約束事もなく、シュート17本を浴びて0-4の惨敗。ある選手は、浦和の選手に言われたという。「監督が代わっただけで、こんなに変わっちゃうの?」と。直後にアーノルド前監督は仙台を去り、渡辺監督が就任。中断前の4連勝で立て直しに成功し、さらに勝利への執着心を植え付けるために獲得したのが野沢と村上だった。

 夏場から9月にかけて急失速したが、両ベテランの融合と守備戦術の徹底で粘り強さを取り戻した。野沢は「90分間チームのために戦って、全員がハードワークできているので結果が出ている」。村上も「最後まであきらめない姿勢が勝利につながった」と言った。東京、浦和と強敵相手に勝ち方を思い出した仙台が、残り6試合も前を向いて走り続ける。【鹿野雄太】