<J1:C大阪3-1徳島>◇第29節◇22日◇金鳥スタ

 C大阪が徳島を逆転で下し、J1残留に望みをつないだ。U-19日本代表のために離脱していたMF南野拓実(19)が3試合ぶりに復帰。攻撃を活性化させ同点ゴールに絡むなど、3試合ぶりの白星をつかんだ。残留争いは13位仙台から17位C大阪まで、5チームが勝ち点4差でひしめく大混戦となった。敗れた徳島は最下位とJ2降格が決まった。

 天皇杯を含めて公式戦3試合無得点だったC大阪をよみがえらせたのは、U-19アジア選手権(ミャンマー)から戻ってきたMF南野だった。0-1で迎えた前半15分、南野が前線のFW杉本へ絶妙のスルーパス。受けた杉本がクロスを上げ、相手GKが処理を誤ってオウンゴールとなった。後半37分にも南野が起点となって敵陣に迫り、FWカカウの3点目を演出した。2得点に絡む活躍で、金鳥スタ5試合目でようやく今季初勝利をつかんだ。

 「今日の勝利は絶対に必要だった。90分間通して、最も重要なのは勝ち点3を取ることだと意識していた。勝ち点3がとれてよかった。いい守備からいい攻撃につながっている」

 ミャンマー滞在中もインターネットでC大阪の結果をチェック。得点が取れない現実に心を痛めていた。一方で南野本人は17日の同選手権準々決勝ではPKを失敗。北朝鮮に敗れ、U-20W杯出場権を逃した。現地では虫が入った食事もあったという。厳しい経験をしたが「気持ちも切り替えたし、もう問題ない」と集中していた。

 20日に約15時間の移動を経て帰国してからわずか2日で迎えた。最後までゴールに向かう姿勢は消えなかった。大熊監督も、下部組織からの教え子の活躍に「大事な試合で勝つことができてうれしい。コンディションがそれほど良くない中で、攻守にわたってやってくれた。状態がよくなればもっとこのチームに貢献してくれる」と目を細めた。

 降格圏の17位から順位を上げることはできなかったが、勝ち点を29に伸ばし、残留圏15位清水との勝ち点差を2に縮めた。残り5試合でライバルの甲府、仙台、大宮との直接対決を残す。「勝ち点3が毎試合必要。切り替えてやっていく」。若きエースは決して最後まであきらめない。【福岡吉央】

 ◆残留の行方

 勝ち点29の17位C大阪は残り5戦で横浜、甲府、仙台、鹿島、大宮との対戦を残す。13位仙台は勝ち点33、14位大宮は同31、15位清水は同31、16位甲府が同30。残留争いは事実上、この5チームが対象となりそうだ。徳島の降格が決まり、残る16、17位の降格2チームは、最後まで予断を許さない。