<J1:G大阪2-1東京>◇第30節◇26日◇万博

 大逆転Vが見えた!

 G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(34)が「神業FK」で勝利に導いた。後半14分、左ゴールライン際の角度のない位置から直接FKを決めた。その6分前にはMF大森の先制弾も演出するなど、1得点1アシストで全得点に絡んだ。東京を下し、首位浦和に勝ち点3差に接近。2位G大阪は次節にも首位浮上の可能性が出てきた。

 まさに職人技のFKだ。1点リードの後半14分。敵陣左奥のゴールライン際で得たFK。遠藤はゴール手前を目掛けて、ほんのわずかな隙間に蹴り込んだ。今野、パトリックらが合わせようとなだれ込む。GKの手をかすめて、ボールは吸い込まれた。1万5695人の大観衆は一瞬、目を疑った。少しの沈黙の後、本拠地万博は大歓声に包まれた。

 「完全に、100%ゴールを狙ったわけではないですけど、相手でもいいし、誰かが触れば入るようにと思った。もし、誰も触らなければ、そのまま入るようには蹴りました」

 得意のキックはもちろん、外見にもこだわりがある。15分間のハーフタイム中にシャワーを浴び、ユニホームを着替える。今季からは、その時にキャプテンマークも替える。この日は前半は黄、後半は白。「世界的に見ても、そんなことをする選手はいないでしょ」。大森の先制弾も演出し、1得点1アシスト。ちょっとした気分転換をすることで、90分間を通じた集中力を保つことができる。

 優勝争いに導く主将として、信頼度は抜群だ。W杯は3大会連続出場中。アギーレジャパンからは落選しているが、長谷川監督は「言うことがない。素晴らしい2点目。遠藤でなければ生まれなかった。大きなゴール」と褒めちぎった。前節柏戦に0-1で敗れ、連勝は7でストップ。重圧がかかりそうなシーズン終盤でも同僚のMF今野は「ヤットさん(遠藤)が常に落ち着いているから、みんな焦ることはない。自然体で試合に臨むことができる」と明かした。

 首位浦和が引き分けたため、次節にも首位浮上の可能性が出てきた。残り4戦で勝ち点3差に接近。次々節11月22日には直接対決も控える。ナビスコ杯、天皇杯も勝ち進んでおり、遠藤は「まだ何も成し遂げてはいない。この状況を楽しみながらやりたい」。G大阪の黄金時代再来の日が、近づいてきた。【益子浩一】