J1はきょう22日に約3週間ぶりに再開し、首位浦和が勝ち点5差で追う2位のG大阪を埼玉スタジアムに迎える。勝てば優勝が決まる浦和は、FW興梠慎三(28)のベンチ入りが確実になった。10月26日の鹿島戦で右足腓骨(ひこつ)を骨折し療養していたが、21日の前日練習の紅白戦にはサブ組で前半のみ出場。前日泊のメンバー18人にも入っており、大一番にエースが戻って来そうだ。

 実戦を想定した紅白戦。11人の先発組に対し、サブ組は12人という変則マッチで、12人目としてプレーしたのは興梠だった。激しい接触プレーは避け、パスもさばく程度。約10分ほどだったが、実戦の感触を体が取り戻すには十分だった。

 「正直、痛い。でも気持ちが高ぶれば痛みなんてなくなる。悪化しても悔いはない。この日のためにやってきたんだから。これでサッカーができなくなっても悔いはない」

 練習後はペトロビッチ監督(57)、関ドクターに気持ちを伝えた。指揮官は会見で、興梠について「最終的に大事なのは本人のフィーリング。ベンチに入る可能性はあるとだけ話しましょう」とニヤリと笑った。試合前日の宿泊メンバー18人に入っており、ベンチ入りは決定的となった。

 10月26日の鹿島戦の終盤に相手選手と激しく接触し腓骨を骨折した。クラブは公式発表で「今季中の復帰を目指す」としたが、6日にはギプスを取った。先週には足を引きずらずに歩き、紅白戦を眺め動きと気持ちだけは実戦に近づけた。今週は負荷のかかる動きを繰り返し、20日には紅白戦以外のメニューを消化。大一番での復帰をひそかに狙い、調整してきた。「1日ごとに良くなっている。だから今日より明日はもっと良くなる。でも自分としては思ったよりも時間がかかった」と笑ったが、最後は気持ちで帳尻を合わせた。

 鹿島時代、07~09年に3連覇を経験した。だが浦和での優勝は別ものだ。12年シーズンの後、指揮官から「優勝のためにお前の力が必要だ」と熱烈オファーを受けたことは覚えている。

 今季残り3試合。無理して復帰する必要はない。だが興梠は「自分はレッズを優勝させるために来た。大事なところでメンバーに入れないのは悔しい」。今季12得点で引っ張ってきた自負もある。赤く染まるスタジアムで、全てをささげる覚悟はできた。【高橋悟史】