<J3:福島2-1琉球>◇最終節◇23日◇とうスタ

 今季限りの引退を表明している福島FW時崎塁(32)が、劇的な決勝ゴールを決めた。後半ロスタイムに同点を許したその1分後に右足で押し込み、琉球を退けた。チームは勝ち点36の7位で初参入のシーズンを終えた。

 格好良すぎる有終の美だった。後半29分から途中出場した32歳時崎がロスタイムV弾。07年福島の前身ペラーダ福島に入団から8年目。「8年間の思いが宿った。サッカーの神様に味方してもらえた」と、万感の思いを込めて言った。引退試合に訪れたひとみ夫人(32)は、1歳8カ月の長女逢咲(あいら)ちゃんを抱きながら泣いていた。

 「自分のキャリアを考えて、引退が適切ではないか」と9月末にユニホームを脱ぐ決意を固め、今月18日に発表した。地元の東邦銀行に勤務し、「二足のわらじ」を履いてプレーし続けた。今季はチーム事情でDF登録。8月に本職のFWに戻った。この日の1発は、最初で最後Jリーグでのゴールになった。

 東北社会人リーグ2、1部、JFL、J3と4カテゴリーを経験。試合後は支え続けてくれたサポーターへのあいさつで涙ぐんだ。「幸せなサッカー選手でした」。東邦銀行の行員として第2の人生を歩む。【久野朗】