J2山形はリーグ6位から昇格プレーオフ(PO)2連勝で、4季ぶりのJ1復帰を決めた。天皇杯も東北勢として81年ぶりの準優勝に輝いた。今季「新風」をクラブスローガンに掲げ、サッカー界に「山形旋風」を巻き起こした1年を総括する。

 今季「J1昇格」を目標に掲げ、16年ぶりに山形の指揮を執った石崎信弘監督(56)は、2年契約の1年目で結果を出した。就任会見直後の昨年12月2日から12日間、異例の冬季練習を敢行。選手たちの特長をいち早く把握し、円滑な春季キャンプスタートにつなげた。石崎サッカーの原点はハードワーク。支えるのは運動量だ。事あるごとに「練習しない選手は嫌いじゃ。プロなんじゃからね」と広島弁で公言し、自主性を求めてきた。「フィジ・テク」と呼ばれるフィジカルとテクニックを組み合わせた独特の練習法に、罰ゲームなどのゲーム性も加え、体力と体幹を強化した。特に砂場を使ったジャンプ練習は「鬼の石さん」の真骨頂。一方、キャンプや夏場の練習の合間に広島風お好み焼きや手作りギョーザを自ら作って振る舞うなど、選手から慕われている。