仙台のDF渡部博文(27)が、開幕スタメンへ存在感をみせた。鹿児島キャンプ3日目の28日、午前のサーキットトレーニングでは快走でスタミナをアピール。午後のミニゲームでは左センターバック(CB)に入り、長身を生かした対人の強さ、適応能力の高さを披露した。山形県長井市出身で、リーグ開幕山形戦に闘志を燃やす即戦力は、さっそくチームにフィットしている。

 今キャンプ初のゲーム形式練習でも、全く違和感を感じさせなかった。渡部は12対12の変則ゲームで、昨季主力DFの石川直、鎌田に挟まれた左CBでプレー。体を張り、積極的に声を出してコーチングするなど存在感を発揮した。プレーは約10分間だけだったが、渡辺監督は「人に対する強さが垣間見えたし、動きも思ったより良い」。柏から加入した186センチのディフェンダーを評価した。

 開幕スタメンは譲れない。新天地での初戦は“恩師”石崎監督率いる山形と対戦する。「Jリーグで初めて指導を受けた監督であり、プロを目指す意識を高めてくれた人です」。山形中央高から専修大に進み、3年時の08年に柏の練習に参加。当時監督を務めていたのが石崎監督だった。強化指定に、その後のトップ昇格と背中を押してくれた大きな存在で「石崎さんがいなければ今の自分はいない」という。

 「プロになる」という思いを強くしたのも、石崎監督と出会ってからだ。それまでは「コンビニ弁当もいくつ食べたかわからない普通の大学生」だったが、「このままじゃダメになる」と食生活から見直した。もともとまじめな性格。高い意識を持って練習を積み重ねたことで、DFとしての素質を開花させた。

 仙台の一員として初めて臨むシーズン。キャンプはまだ体作りが中心だが、今後は「セットプレーでの得点や、DFラインの統率力もアピールしていきたい」と意気込む。照準はあくまで3月7日。リーグ開幕のピッチに立ち「石崎さんが認めざるを得ないプレーをして、あの時から成長した姿を見せたい」。7年間で培ったすべてをぶつけ、恩師から白星を勝ち取る。【成田光季】<渡部博文(わたなべ・ひろふみ)アラカルト>

 ★経歴

 1987年(昭62)7月7日、山形県長井市生まれ。6歳からサッカーを始める。本当は野球をやりたかったが「毎日2時間の練習メニューを組まれ、こなすうちにうまくなっていた」。

 ★プレースタイル

 長身を生かしたセットプレーに強いCB。山形中央高まではボランチで、視野も広い。ヘディングが得意。

 ★性格

 きれい好きで「毎日どこかしらは掃除してる」。趣味はパワースポット、温泉めぐり。

 ★家族

 両親と姉夫婦が山形県内在住で「家族と近くなったことが今季戦うモチベーション」。実家は長井市などで展開する地域密着型スーパー「うめや」を代々経営。現在は叔父が社長。

 ★身長、体重、血液型

 186センチ、80キロ、О型。