昨季プレミアリーグ王者のチェルシーが不振にあえいでいる。

 ここまで開幕から8試合を終え、2勝2分け4敗の勝ち点8。筆者も開幕前にはチェルシーを優勝候補の筆頭と予想しており、その眼力のなさは恥ずかしい限りだが、それにしても現在の16位という順位はあり得ないものだ。

 主力が昨季のような働きをしていないのは言うまでもないが、このようなチーム状況では、どうしてもジョゼ・モウリーニョ監督(52)に批判が集まってしまう。

 普段、舌鋒(ぜっぽう)鋭く他クラブや他の指揮官を批判し、敵を多く作ってきただけに、今度はここぞとばかりに「反撃」にあっている。

 英サン紙(電子版)によると、かつてトットナムなどを率いたハリー・レドナップ氏(68)は「単に選手がモウリーニョのことを嫌いなだけなのではないか」と指摘し、元イングランド代表監督のファビオ・カペロ氏(69)は「彼は素晴らしい監督ではあるが、1年半で選手を燃え尽きさせてしまった」と話している。

 またヨハン・クライフ氏(68)も「彼が子供たちにサッカーを教えたり、人生について教えたりする役目を果たしているとは思えない。彼は世界中のメディアに登場するのだから、もっと良い振る舞いをした方がいい」と、その尊大な態度に苦言を呈したという。

 そしてテレグラフ紙(電子版)は不吉なデータを示して、モウリーニョ監督の早期解任の可能性について報じた。

 チェルシーは5日、「モウリーニョ監督が今後も経営陣からのサポートを受け続けるということを、クラブとして明確にしたい。チェルシーは監督と選手たちを信じている」という声明を発表。同監督が今後も指揮を執ることを強調した。

 だがテレグラフ紙によると、この「信頼を示す声明」が不吉なのだという。この声明が出されるということは、チームが瀕死(ひんし)の状態であることの裏返し。このような声明の後、チーム状況が改善されずに解任される監督は多いのだ。

 リバプールを去ることになったばかりのブレンダン・ロジャーズ監督(42)は、声明から57日で解任された。そしてロジャーズ監督ら最近の16人の例を見ると、声明が出されてから平均48・4日で解任されているという。

 現Rソシエダードのデービッド・モイズ監督(52)がマンチェスターUを去る際も、解任24日前に「信頼を示す声明」が出ていた。

 ちなみに元マンUのアレックス・ファーガソン氏(73)とアーセナルのアーセン・ベンゲル監督(65)という長老2人にも「声明」が出ていたが、2人ともその後の解任は逃れている。モウリーニョ監督はどうなるか。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)