<クラブW杯:G大阪1-0アデレード(オーストラリア)>◇14日◇豊田◇準々決勝

 さあ、マンU戦だ!

 G大阪MF遠藤保仁(28)が値千金の決勝ゴールを奪って、1-0でアデレード(オーストラリア)を下した。前半23分、FW播戸が頭で落としたボールに走り込み、右足で冷静に決めた。2戦合計5-0で勝ったACL決勝の再戦で、鮮やかに返り討ち。18日の準決勝では、欧州王者マンチェスターU(イングランド)と激突する。世界の頂点を目指し、アジアを代表する司令塔が、サッカー人生最大の強敵に挑む。西野朗監督(53)にとっては、世界的名将ファーガソン監督(66)との対戦になる。

 一瞬にして、遠藤はゴールへの道筋を描いた。前半23分、中盤で明神から二川にボールが渡る。その瞬間、ゴールに向かって走りだした。二川の浮き球パスをFW播戸が頭で落とす。転がってきたボールに左から走り込むと、相手のマークはついていなかった。最後は、飛び出してきたGKのまたを抜く右足のシュートをねじ込んだ。

 「二川に渡った時に(得点パターンを)イメージしていた。ボールが来ると信じて走った。(また抜きは)狙ってました」。技術、読み、ゴールへの嗅覚(きゅうかく)。3得点8アシストでMVPに輝いたACLに続き、世界の大舞台で持てる力すべてを結集させた決勝弾だった。

 ACL決勝の雪辱に燃えるアデレードの激しいプレスに序盤から苦しんだ。「正直、2試合やったアデレードじゃなかった。コンディションがよくて迫力を感じた」。前半20分の佐々木の負傷交代後は、トップ下から2列目右サイドへ。それでも、ゴールを狙う神出鬼没な動きは変わらなかった。「相手の視界から消えて出て行くことを考えていた」。相手の裏を突く動きでシュート5本を放ち、決定機に絡みつづけた。

 G大阪で初めて臨む世界大会。今月初旬、契約するアンブロ社に依頼し、スパイクのかかと部分にこの試合の日付と、英字で「ガンバ大阪VSアデレード」と縫いつけた。ワイタケレが勝ち上がっていたら「履かなかったけどね」。予想していた舞台設定で、最高の結果を残した。特注スパイクはもう1パターン用意して、荷物に忍ばせてある。かかとには「12・18

 ガンバ大阪VSマンチェスターU」と縫いつけられている。絶対にマンU戦までは負けられなかった。

 18日の準決勝で、ついに欧州王者マンUに挑む。ずっと対戦を夢見てきた。「こんなチャンスはない。勝てばみんながスターになれる」と言い、負傷した佐々木と二川について「2人の分まで頑張らないといけない」と思いやった。攻略のイメージは完成している。「もういやというほど、マンUのビデオは見てますからね」。あとは自らのゴールで欧州王者を沈め、奇跡を起こすだけ。アジア最強MFの頭には波乱の青写真、そして世界一のタイトルしかない。【北村泰彦】