マンチェスターU(イングランド)MFクリスティアーノ・ロナウド(23)が、タイトルずくめの08年を世界一で締めくくる。トヨタ

 クラブW杯決勝で21日、LDUキト(エクアドル)と対戦。今年はバロンドール(フランスフットボール誌の選定する世界最優秀選手)を獲得するなど、既に個人タイトル13冠、チームタイトル2冠の計15冠を獲得。ファーガソン監督の「いずれ伝説になる」という大きな期待を背負い、チームを9年ぶりの世界王者に導く。

 世界一をかけた決戦前日、C・ロナウドの表情は穏やかだった。川崎市内での練習では、巧みなタッチでナニとボールリフティング。「マイフレンド」というボールと戯れると、自然と笑顔になった。競技場を後にする際、テレビカメラに向けて親指を突き立て、コンディションの良さをアピール。周囲からの問いかけには応じず、無言でバスに乗り込んだ。

 若きスーパースターに代わり、この日の会見でファーガソン監督が期待を込めた。「クリスティアーノは高い得点力、エリアで仕掛けるタイミング、両足のテクニック、絶対的な空中戦の強さ。彼が攻撃の起点となり、チームに大きな影響を与える」。世界一獲得はC・ロナウドの活躍次第、ということを暗に示した。

 08年の世界サッカーは、「23歳の怪物」とともにあった。驚異的な技術、スピードで07~08年シーズンで欧州最多42得点。チームをプレミア、欧州CLの2冠に導いた。個人タイトルも13冠という華やかさだ。加えてベッカムさながらの甘いマスクと派手な私生活も注目を集め、今夏には100億円以上という超破格の移籍金でレアルへの移籍話が浮上。メディアはその一挙手一投足を追った。

 20世紀のサッカー界にはペレ、マラドーナという王様が君臨した。C・ロナウドが21世紀の継承候補であることは疑いようがない。ファーガソン監督は「ペレやマラドーナのようになるかは、28歳か29歳になった時に分かるだろう。多くの要素から考えれば、彼もまた伝説となる可能性は高い」と言い切った。

 ロナウドに魅了され、ロナウドにわいた1年。18日のG大阪戦後、C・ロナウドは言った。「プレミア、欧州CL、そしてCWCが取れれば、僕にとって最高の1年になる」。世界一、そして大会MVPを獲得すれば今季17冠。記憶にも記録にも残る男が、名実ともに世界の頂点に立つ瞬間がやってきた。【佐藤隆志】