【フランクフルト(ドイツ)5日=中野吉之伴通信員】フランクフルトの日本代表MF長谷部誠(33)が、1-2で敗れたフライブルク戦にフル出場し、通算235試合目としてブンデス日本選手最多出場記録を更新した。ブレーメンなどで活躍した奥寺康彦を超えた。本職のボランチではなくセンターバックで出場。攻守のバランスを意識した落ち着いたプレーを見せた。

 フランクフルトの長谷部が前人未到の領域に足を踏み入れた。ブンデスリーガ通算235試合出場で奥寺の記録を上回ると同時に、欧州4大リーグでも日本選手最多となった。「サッカー選手として今まで突き詰めてやってきた部分はあるので、そういうものがこのように結果として、記録として評価していただくのは非常にうれしい部分はあります」と笑みを浮かべた。

 08年に浦和からドイツに移籍。08-09年シーズンにはウォルフスブルクでリーグ優勝。14年には右膝の負傷で長期離脱を強いられた。「いい時だけでなく、そうでない時も多くを経験しましたから。振り返れば長かったなというのはもちろんあります」。山あり谷ありの10シーズンを振り返った。

 世界トップリーグで、助っ人外国人として長期的に活躍するのは並大抵のことではない。自身のプレーだけでなく、人間性も問われる。ニコ・コバチ監督からは「長谷部がチームにいてくれてありがたい。チームにとって大事な選手だ。人間としても、どんなサッカー選手よりも素晴らしい」と絶賛された。

 2試合連続で主将を務める長谷部はチームが敗戦したこともあり「チームの結果がすべてなので。うれしさはない」とキャプテンとして振る舞った。だが、築いた地位を簡単に手放すつもりもない。「若い選手に抜かれないくらい、突き抜けた記録を目指したい」。欧州での戦いはまだまだ続く。

 ◆長谷部誠(はせべ・まこと)1984年(昭59)1月18日生まれ。静岡県藤枝市出身。藤枝東から02年浦和に入団。08年1月、ドイツのウォルフスブルクに移籍。08-09年にリーグ優勝。13年夏にニュルンベルク、14年夏にフランクフルトへ移籍。A代表通算104試合、2得点。177センチ、72キロ。血液型O。