<スコットランドリーグ:セルティック3-2アバディーン>◇27日◇セルティックパーク

 【グラスゴー(英国)=アンソニー・マッカスカー通信員】セルティックMF中村俊輔(30)が欧州CL直前の「壮行試合」で逆転勝利をおぜん立てした。ホームでのアバディーン戦に先発。1-2で敗色ムードが漂っていた後半33分に的確な判断で同点弾の起点となった。勢いに乗ったチームはロスタイムに勝ち越し点を奪い、30日の欧州CL1次リーグ・ビジャレアル戦へ最高の形で挑む。

 中村が重苦しい雰囲気を振り払った。後半33分。ゴール前でボールを受けると、判断よく右サイドのFWマクギーディーに流した。そこからのクロスがFWマクドナルドの同点ヘッドを呼び込んだ。同20分には相手DFマルグリューにお株を奪うような左足FKで2失点目を喫していた。30日には欧州CL1次リーグ・ビジャレアル戦が控え「いい感じで行きたい」と試合前に話していた。敵地での一戦を前に敗戦はダメージが残る。チームはロスタイムに逆転し、同点弾の起点は価値が増した。

 指揮官の期待にも応えたかった。ストラカン監督からは前日26日の会見で絶賛された。「今まで自分が一緒に働いてきた中で間違いなく一番の選手だ。彼がここを離れる時は、自分はひざまずいて感謝の気持ちを表すつもりだ」「(名選手だった)ケニー・ダグリーシュ、ブライアン・ロブソンと並ぶ」「リーグ史上最も相手選手に蹴られた選手だと思う」。

 歯の浮くような賛辞だが、言葉には重みが伴っている。昨年、選手協会が選ぶMVPに選出されたFWマクギーディー、得点王だったFWマクドナルドは現在、ベンチを温めている。だが中村は変わらず右MFの座に君臨し続けている。

 最近はゴール前への飛び出すプレーが目立つ。この日も前半29分にはスルーから前線へ飛び出し、惜しいチャンスをつくった。自ら、流れの中で決める-。その意志が高まってきている。強豪ビジャレアル戦が結実の時になる。