<ブンデスリーガ:ドルトムント2-1ケルン>◇15日(日本時間16日)◇ケルン

 【ケルン=鈴木智貴通信員】日本代表のドルトムントMF香川真司(21)の勢いが止まらない。敵地でのケルン戦に先発。前半20分に精度の高い左クロスを上げ先制点を演出する活躍を見せた。2-1の勝利に貢献し、チームは7連勝で首位に立った。12日韓国戦(ソウル)から、わずか中2日でもしっかりと実力を発揮。来夏にもスペインリーグ移籍の可能性も出てきたザックジャパンの主力は、ドイツで急成長を遂げている。

 香川の右足が先制点を呼んだ。前半20分だ。左サイドでボールを受けると、ボールを右足に持ちかえFWバリオスへクロスを送った。ヘディングのこぼれ球をブラシュチコフスキが押し込み先制点を奪った。2-1の勝利で7連勝。ついにチームは首位に立った。「蹴る前にも味方が見えた。互いの雰囲気を共有してというか、ああいう場面はああなる。マニュアル通りと言ったら変ですけど、練習通り」と胸を張った。

 韓国からドイツへ戻り準備期間は1日だけ。それでも、ケルンDFのマークの甘さを見逃さず、得意のドリブルで次々とチャンスをつくった。トップ下でダイレクトパスで攻撃を加速させるなどリズムをつけた。「時差ぼけで夜中に起きてしまったり、睡眠はあまり取れてなかった。水曜の夜は体を動かさず、昨日(木曜)に軽く体を動かしたくらい。また勢いがつくような試合になった。チームの力強さを感じた」と振り返った。

 アウェーの洗礼を浴びた。地元ビルト紙によるとドルトムントのチームバスが、スタジアムに着いた時に敵サポーターから2度、投石を受けたという。幸いけが人は出なかったが、同僚のDFスボティッチが「こうした暴動は心に残ってしまう」とこぼしたほどだ。だが、香川はショックを除く活躍を見せた。

 最終目標を「バルセロナで欧州CL優勝」と公言する中、スペインのビリャレアルとAマドリードは既に香川に移籍を打診し、来夏での獲得を検討するなど、欧州各クラブから熱視線を浴びている。夢を抱く一方、今はドイツで成功することに集中している。チームは前節2位から首位に立ったが、浮かれることはない。「ここで首位に立っただけでは意味はない。まだ先があるんで」と気を引きしめた。

 [2010年10月17日8時42分

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