<オランダリーグ:フェイエノールト6-1ウィレム2>◇17日◇ロッテルダム

 

 フェイエノールトFW宮市亮(18)が、ホームのウィレム2戦で欧州初の1試合2ゴールを決めた。前半29分に2月12日のヘラクレス戦以来の欧州2ゴール目となる勝ち越し弾を決めると、後半36分、ダメ押しとなるチーム6点目を決めた。左CKからのアシストなど、チーム6点中4点に絡む活躍を見せ6-1の大勝に貢献した。デビュー後の活躍で、相手の徹底マークに苦しんだ時期もあったが、また1つ“欧州のカベ”を乗り越えた。

 宮市のゴールが流れを変えた。前半29分、右サイドからつながれたボールを受けたMFメーウィスがクロスを出した。相手DFの間を走り込んだのは宮市。冷静に右足でゴールへ流し込んだ。2月12日以来、約2カ月ぶりの欧州2ゴール目は、試合の流れを決定づける勝ち越しゴールだった。

 反撃の口火を切ったのも宮市だった。前半20分に最下位の相手にFKからまさかの先制点を許した。だが、前半27分に宮市の左CKが起点になり、FWカステグノスが同点ゴールを決めた。3点目も宮市の左CKをマルティンスが頭で押し込んだ。勢いに乗ったチームはゴールラッシュ。宮市も乗り遅れず、ダメ押しの6点目を決め、欧州初の1試合2ゴールを達成した。

 デビュー戦での左サイドを切り裂く活躍、2戦目での欧州初ゴールで一躍、注目の的になった。サポーター人気に火が付き“リオジーニョ”の愛称も得た。欧州移籍市場の情報を扱う情報サイトでも、ビッグクラブの標的として名前が出た。だが、逆に相手のマークは厳しくなり、2人、3人に囲まれて自由な動きができずに苦しんだ。2月27日のフローニンゲン戦で1アシストを記録してから、4戦連続で得点に絡めない試合が続いた。初めての試練だったが、前戦の1アシストに続く活躍で、乗り越えてみせた。

 18歳で異国のプロチームに単身飛び込んだ。クラブが報道規制を敷いたため、報道陣との交流もない。孤独な戦いが続くが、身近にサポートしてくれる代表経験者の先輩たちがいた。J1名古屋の練習に参加した縁で、VVVフェンロDF吉田麻也とは顔見知りだった。吉田らがドイツのデュッセルドルフで行う日本人選手の食事会に宮市も招かれた。シャルケMF内田篤人、ケルンDF槙野智章、北朝鮮代表FW鄭大世らも含む、ドイツ、オランダの先輩たちの話にリラックスし、やる気をかき立てた。

 海外組中心になる7月の南米選手権の日本代表では、宮市も選出される可能性がある。代表の先輩たちと同じピッチに立つ日のため、オランダで経験を積み、腕を磨き続ける。【エリーヌ・スウェーブルス通信員】