日本代表のMF香川真司(23=ドルトムント)が、正式オファーを受けている名門マンチェスターUのアレックス・ファーガソン監督(70)と直接会談した。16日早朝にマンチェスターからドイツを経由し、羽田空港着の航空機で帰国。移籍先をプレミアリーグに絞ったことを明かした。今季プレミア王者のマンチェスターCも獲得に乗り出していることも判明。あくまでも熱烈オファーを受けるマンUを最有力候補に、早ければ今月中に最終結論を出す。

 夜が明けたばかりの羽田空港で、香川が衝撃的な事実を明かした。早朝にもかかわらず、集まった報道陣は約100人。それだけで注目度の高さをうかがわせた。長旅の疲れは一切、見せない。希望に満ちた明るい未来を、待ち切れないといった晴れ晴れとした表情だった。

 「マンチェスターには行きました。何も決まってはいないですけれど、ファーガソン監督と話をしてきました。初めて(監督と)会った。会話の内容は言えないですが、ラブコールというか、いい言葉を頂いた。しっかりした結論を出さないといけないです」

 既にドルトムント側には退団の意思を正式に伝え、リーグ戦とドイツ杯の2冠を達成した仲間にも別れのあいさつをしてきた。その後14日にマンチェスター入りし、ファーガソン監督と約2時間の会談。翌15日にドイツを経由し、日本に帰ってきた。短時間の滞在でマンUの豪華な施設を見学する余裕はなかった。それでも12日のドイツ杯決勝・Bミュンヘン戦を直接視察するなど、ファーガソン監督の熱意に胸を打たれた。

 「ボクの中でプレミアは1番。(マンUも)ビッグクラブで監督、サポーターであったり、素晴らしい舞台。(他の)チームからもいろいろコンタクトがある。どこが1番かというのは正直ないですが、自分が挑戦できるところを選んで決める。しっかり自分の意思で決めたいと思います」

 移籍先をプレミアリーグに絞ったことで、マンUが最有力候補であるのは揺るがない。一方で同じマンチェスターに本拠を置き、13日の最終節まで壮絶な優勝争いを繰り広げて、44年ぶりに優勝したライバルのマンCも横やりを入れる形で獲得に乗り出したことが判明。3位アーセナルも含め、来季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権のある上位3クラブが香川争奪戦を繰り広げる展開だ。

 現時点で欧州CL出場権のない6位チェルシーなども含めれば、プレミアだけでも複数の名門クラブから声がかかっている。今後は条件面と、出場機会などを踏まえ早ければ今月中にも正式結論を出すことになりそうだ。

 6月からは日本代表としてW杯アジア最終予選が始まる。プレミアの超ビッグクラブから、14年W杯ブラジル大会へ。香川の夢は、果てしなく膨らむ。【益子浩一】