マンチェスターUのMF香川真司(25)が、3シーズンぶりに古巣ドルトムントへ復帰することが29日、決定的になった。2年間在籍したマンU退団は確実となり、欧州の夏の移籍市場が閉まる9月1日までの駆け込み移籍に向けてクラブ間交渉が大詰めに入った。地元の報道では完全移籍で4年契約になる見通し。日本時間の今日30日にもドイツ入りしてメディカルチェックを受け、正式決定する。

 香川が大きな決断をした。欧州の移籍市場締め切り間際になって、ドイツの強豪で古巣のドルトムント、スペインの名門バレンシアからオファーが届いた。香川が選択したのは、生まれ育ったC大阪を10年に退団し、欧州での第1歩としてステップアップした愛着のあるドルトムントだった。既に年俸などの個人の条件面で合意。後は移籍金を巡る、クラブ間交渉の成立を待つだけになった。

 複数の関係者によれば駆け込み移籍に備えてこの日、所属事務所の担当者が欧州に向かった模様だ。交渉がまとまり次第、日本時間今日30日にも香川がドイツ入りしてメディカルチェックを受ける。2年前にドルトムントからマンUに移った際の移籍金総額は、2200万ユーロ(当時のレートで約22億円)とされる。現在ドルトムント側は1000万ユーロ(現レートで約14億円)を提示し、交渉は大詰めだ。欧州主要リーグの移籍市場が閉まる9月1日が迫り、香川サイドの動きは慌ただしくなってきた。

 当初、香川は残留を希望。だが16日のプレミアリーグ開幕から2戦連続で出番がなく、チームは、Rマドリードからアルゼンチン代表MFディマリアを英国史上最高額となる移籍金約103億円で補強。ファンハール監督から事実上の構想外通告を受けた。一時は攻撃的MFを探していたバレンシアが、マンU側との交渉で香川獲得に近づいていたが、29日になって相思相愛のドルトムントが移籍金をつり上げたことで、一気に古巣復帰へと急展開した。

 29日付のドイツ各紙は、一斉に香川のドルトムント復帰を報じた。「香川とドルトムントとの間では既に合意。マンUとの間で(クラブ間)交渉中」と報道。ビルト紙電子版は、代理人のトーマス・クロート氏がドルトムントの事務所に到着したと伝えた上で、「香川は完全移籍で4年契約になる見通し。メディカルチェックを受けて順調なら30日午後1時(日本時間午後8時)に発表」と伝えた。スペインでもバレンシアの地元紙が「(バレンシアとマンUの)クラブ間で合意に達していたが、日本人MFは欧州CLに出場するドルトムントを選択した」と伝えた。

 香川は移籍に備えて、9月の日本代表合宿の招集を免除された。早ければ今日30日にも正式発表。9月13日のフライブルク戦が、ドルトムント復帰戦となる。<今夏の香川移籍の動き>

 ▽ボランチ

 7月23日、MLSギャラクシー戦で、香川はボランチで後半出場。ファンハール監督は「4人のトップ下がいるので、バランスが取れていない」と発言。Aマドリードやトルコ1部ベシクタシュなど移籍報道が多くなった。

 ▽残留報道

 8月11日には、英紙にマンU残留と報じられた。しかし、リーグ戦では開幕から2戦連続で出番なし。24日に同監督は「米国で同じポジション(ボランチ)を香川で試したが、私の希望と哲学を満たすことができなかった」と話した。