熱戦が続くアジア大会で、前代未聞の不祥事が起きた。競泳男子の冨田尚弥(25=チームアリーナ)が競泳会場で韓国メディアのカメラを盗んだもの。26日夜から27日未明まで地元警察の事情聴取を受け、本人も容疑を認めている。

 ◆過去の不祥事

 84年ロサンゼルス五輪で、水泳代表選手による大麻事件があった。一部の選手が大会中などに大麻を使用したことが明らかになり、五輪代表を含む男子5選手が事実上の永久追放(88年に処分解除)となった。当時の日本水連会長は引責辞任。五輪代表監督、コーチらも辞任した。メダルどころか、入賞も女子の2つだけという成績で、日本競泳界がもっとも苦しんだ時期だった。

 その影響もあってか、日本水連の選手行動規範、倫理規定は厳しい。茶髪やピアス、過度なネイルアートは禁止。ミーティングから代表選手としての行動や考え方を徹底する。今大会前にも、表彰式での国旗や国歌に対する態度を指導していた。ロスの不祥事から30年、日本スポーツ界を代表する「チーム」に成長した競泳陣だが、日本スポーツ界の汚点として残る不祥事が起きてしまった。