男子200メートルのサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)が、世界選手権(8月、北京)代表入りの可能性が出てきた。追い風0・8メートルの同決勝で20秒57で高瀬慧(26=富士通)と同着の2位。表彰台に立ったことで、日本陸連の苅部俊二短距離部長(46)は男子400メートルリレーでの代表入りに「可能性はある」。個人種目で出場する可能性も残されており、一気に世界舞台に駆け上がる。

 16歳が、北京切符を引き寄せた。サニブラウンは、ラスト50メートルで必死に手足を動かした。1位藤光を追う2位争い。日本歴代2位の20秒14を誇る高瀬と並走した。あごが上がっても体が左右に揺れても前に進む。「ガムシャラでフォームがバラバラ。ゴールした時は3番か4番と思った」。結果は20秒57で同着の2位。「何とかねじ込んだ。自分でも驚いている。世界選手権につながればいい」。

 ガーナ人の父と短距離選手だった母を持つ。20年東京五輪に向けた日本陸連の育成プロジェクト「ダイヤモンドアスリート」の一員。初出場で2位に入って、苅部短距離部長は「可能性はある」と男子400メートルリレーのメンバーとして北京行きを検討。来年のリオ五輪どころか、今夏の世界舞台が視野に入った。指導する山村コーチは「日本選手権に出られればいいと思っていた。次々と上方修正している感じ」と驚いた。

 8月2日までに参加標準記録20秒50をクリアすれば、個人での出場もある。サニブラウンの自己ベストは高校歴代2位の20秒55。残りの0秒05を、7月の世界ユース選手権(コロンビア)と高校総体(和歌山)で短縮する可能性は十分だ。

 幼少期はサッカーのFWだったが、小3で「団体競技は向いてない」と母に陸上を勧められた。サニブラウンも「人に合わせるのが得意じゃないです」と苦笑いする。今日28日の同100メートルに向けて「3番以内に入りたい」。187センチ、74キロの16歳は無限の可能性を秘めている。【益田一弘】