ドイツ公共放送ARDは22日、国ぐるみのドーピングにより国際陸連が資格停止としているロシア陸連で、処分後も複数のコーチが選手の指導を続けている可能性があると報じた。同国陸上男子のアンドレイ・ドミトリエフの証言として伝えた。

 近くモスクワを訪れる国際陸連の調査チームが事実関係を確認するとみられ、ARDは、ロシアの資格停止処分の解除は困難になったと報じた。

 ドミトリエフは今月12日、ロシア南部チェリャビンスクの体育館で、コーチのウラジーミル・カザリン氏が400メートルのトップ選手を指導する様子を隠しカメラで撮影。カザリン氏以外にも活動を続けているコーチが複数いると語った。

 国際陸連はARDに対して、報道が事実なら「ロシア陸連は資格停止処分解除のための条件を満たさなかったことになる」と指摘。世界反ドーピング機関(WADA)はドミトリエフ氏の身の安全を確保する方法について、同氏と検討する方針を示した。

 カザリン氏とロシア陸連はARDの取材に回答しなかった。同氏は、ドーピングを内部告発した女子のユーリア・ステパノワ選手や、2012年ロンドン五輪女子800メートルで優勝したマリヤ・サビノワ選手の指導歴がある。