<別府大分毎日マラソン>◇6日◇大分・高崎山・うみたまご~大分市営陸上競技場(42・195キロ)

 09年ベルリン世界選手権男子マラソン代表の前田和浩(29=九電工)が、自己ベストを更新する2時間10分29秒で日本人トップの3位に入った。今年8月の世界選手権(韓国)の選考を兼ねた大会で代表候補に名を連ねた。アハメド・バダイ(37=モロッコ)が2時間10分14秒で初優勝。30年ぶりに門戸が開かれた女子は望月千幸(24=キヤノンアスリートクラブ九州)が2時間39分57秒で優勝した。

 自己ベスト更新と日本人トップは達成したが、前田は複雑な表情を見せた。「サブテン(2時間10分を切ること)と優勝を狙っていたので、どちらもできなかったのが残念」。30キロまで藤田敦史の後ろについていた。25キロ過ぎに外国人選手が前へ出たときも動かなかった。33キロ過ぎに藤田を振り切って先頭集団を追ったが、勝機は逃した。「25キロ過ぎに先頭につくべきでした」と悔やんだ。

 2度目のマラソンだった09年の世界選手権で39位に終わり、再起をかけて昨年5月、慢性的な痛みがあった左足首を手術した。「最初は走る感覚がなくてばらばらになった。きつかったです」と前田はレース復帰までを振り返った。今大会は日本勢最上位が代表に決まる対象レースではないが、前田の目標はあくまでロンドン五輪代表。「日本人ではなく先頭集団を意識して走らなければいけないとわかりました」。その目は世界へ向けられていた。【前田泰子】