<男子ゴルフ:長嶋茂雄招待セガサミー・カップ>◇第3日◇6日◇北海道・ザ・ノースカントリーGC(7096ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 谷原秀人(34=フリー)が「キタキツネの襲撃」をかわして、優勝争いに加わった。8番パー4で、グリーン上のボールを子ギツネにさらわれそうになる難を逃れてバーディー。ここから流れに乗り、1イーグル、5バーディー、ノーボギーの65をマーク。通算11アンダー205で、首位と4打差の4位につけた。

 キツネのご加護か、ミスショットすらピンに向かった。16番パー3。この日はピンまで186ヤード。谷原は6番アイアンを振り抜いた瞬間、右手を離して大きくバランスを崩した。しかしボールは、ピン手前2メートルにピタリ。この時点では首位に立つバーディーに「いい時は、どうやってもいいんだよね」と笑った。

 大会を通してショットは絶好調。このラウンドもイーグル以外のすべてのホールで、5メートル以内のバーディーチャンスを迎えた。しかし開幕からこの日の前半まで、まったくパットが決まらず、第2日の中盤までは予選通過ラインすら下回っていた。「このグリーンはラインが読めないよ」とキツネにつままれたような顔をするしかなかった。

 それが意外な事件で流れが変わった。8番パー4。グリーン左横のバンカーに、子ギツネがひそんでいた。そわそわと怪しい挙動。案の定、谷原の横から第2打を先に打った片岡が、ピン奥1メートルにつけた瞬間、ボールに駆け寄り、くわえて持ち去ってしまった。

 片岡は元の位置に新しいボールを置いてパットしたが、動揺したのか外し「全部持っていかれた」と苦笑。逆に2メートルを残す谷原がバーディーを挙げた。第1打の飛距離や方向が微妙に違い、谷原が片岡より先に第2打を打っていれば当然、谷原のボールが襲われていたはずだった。

 「そうなったら、どうなったんだろうね」と笑う谷原は、このホールを挟み3連続バーディー。さらに13番パー5では、ピンまで88ヤードの第3打を直接カップインさせ、イーグルまで挙げる「狐福」(きつねふく=思いがけない幸運)に恵まれた。

 3年越しの右肩痛が完全回復。昨年からコンスタントに上位に入ってきたが、もう1歩で3年ぶりツアー10勝目に手が届かずにきた。「アイアンはいい。後はラインが読めて、パットが入ってくれれば」。昨季平均パット数1位の本領発揮と、キツネのご加護があれば、4打差逆転も不可能ではない。【塩畑大輔】<過去の動物珍騒動>

 ◆カモ

 94年4月の女子・三越カップ第2日。パー4で平田充代の池越え第2打が飛んで来たカモを直撃。カモは池ポチャ。球は池を越えたものの血みどろとなり、ラフに落下。

 ◆トンボ

 96年10月の男子・フィリップモリス最終日。福沢義光は15番パー5でトンボのしっぽの上に止まっていた球を「そのまま打つのはかわいそう」と、1罰打覚悟で拾い上げトンボを逃がす。その優しさがたたえられ、ユネスコ・日本フェアプレー特別賞を受賞。

 ◆サル

 10年4月の男子・東建ホームメイト・カップ第1日。石川遼と同組だった小田孔明が、5番パー4でサルにボールを持ち去られ「サルの惑星ですよ」とガックリ。43位と出遅れた。

 ◆カモシカ

 12年8月の女子ツアー・ゴルフ5レディース第1日。9番パー4のコース上に天然記念物のニホンカモシカが出現。ラフからの第2打を打とうとした穴井詩は約3メートルまで接近され、このホールでボギーをたたいた。