<F1:ブラジルGP>◇2日◇決勝◇インテルラゴス、ジョゼ・カルロス・パセ・サーキット(1周4・309キロ×71周)

 こんなに悲しい国歌も、苦い美酒も初めてだった。表彰台の真ん中で、マッサ(フェラーリ)が悔し涙を流した。故アイルトン・セナ以来、17年ぶりのブラジル人王者にはなれなかった。「泣くタイプではないはずなのに。年を取って涙もろくなったのかな」。逆転Vには2位以内に入り、ハミルトンの下位フィニッシュ頼みという厳しい条件だった。レースは優勝を飾ったが、ゴール前の坂を上がったライバルはいつの間にか5位に浮上。1点差で涙をのんだ。「いい負け方だった。いつかタイトルを取って戻ってきたい」。母国ブラジルの観衆に、少しだけはにかみながら手を振った。