氷上の陰陽師(おんみょうじ)になる-。フィギュアスケート男子でソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20=ANA)が12日、横浜市内で開幕したアイスショー「ドリーム・オン・アイス」に出演し、来季のフリーを初披露した。選んだのは、平安時代に活躍した安倍晴明の伝奇小説を映画化した「陰陽師」の劇中曲。タイトルは自ら「SEIMEI」と名付けた。「自分の幅を広げてみたかった」と、競技では自身初の和風プログラムを演じる。

 狩衣(かりぎぬ)をイメージした衣装もさることながら、動きのイメージにも日本の伝統を取り入れる。能や狂言を研究し、「姿勢をぶらさずに流れる、歩くことが多い。その滑らかさはスケートに通じるものがある」と目を輝かせた。スピード感あふれる氷上の滑りに、また一味違ったテイストを持ち込みそうだ。

 構成は、昨季はケガで断念した3回の4回転ジャンプを入れたものになる。この日は失敗が続いたが、和笛と太鼓の音が響くプログラムは新鮮さにあふれた。「僕だからできる繊細さ、和の力強さを見せたい」。世界王者返り咲きを狙う新シーズン。リンクの上を「和」で染める。【阿部健吾】