2020年東京五輪・パラリンピックに向けての国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会が1日都内で行われ、ジョン・コーツ委員長が整備費が約2520億円となる新国立競技場計画に理解を示した。

 なるべく既存施設を利用し、コスト削減を推奨する「アジェンダ2020」と逆行する新国立の計画について「これは(日本)国のプロジェクトで『アジェンダ2020』の精神は大会のためのもの」と性質が違うものと強調。その上で「50年使っていくということで、ラグビーW杯をはじめ、大きな国際大会を行うような国家的なレガシーになるでしょう」と期待した。

 大会組織委員会の森喜朗会長は「国立は64年の五輪の際にできたもので、古くなり老朽化していた。危険なところもかなりあった。五輪も決まり、ラグビーW杯がその前に決まりました。国民の皆さんが理解する後押しになるでしょう。それが高いか、安いかは国民のみなさんが判断する」と新国立計画に自信をのぞかせた。

 さらに、五輪開催後にメーンスタジアムの規模縮小工事を行うケースに対し「どこの国とは言わないが(五輪が)終わったら壊してしまう。(新国立は)そんなものじゃないんです」と批判的な発言。ロンドンやアトランタなどが大会後に規模を縮小している。

 また、森氏が委員会内で、7月末にマレーシアのクアラルンプールで開催されるIOC総会までに新国立問題を決着させたいとの発言をした真意について問われ、「決着とは少なくとも10月に着工できるように準備するということです。着工する以上は財源をきちっとすることが必要。それは僕たちの仕事ではない。国政府の仕事」と話した。