ラグビーのW杯イングランド大会で1次リーグのいびつな日程に批判の声が相次いでいる。

 日本は初戦で過去2度制覇の南アフリカに34-32で歴史的勝利を挙げたが、中3日の第2戦はスコットランドに10-45で完敗。アイルランド元監督のエディー・オサリバン氏は英紙タイムズで「強豪国に有利な日程になるばかりで、新興チームにとって不公平だ」と訴えた。

 ▽後半失速

 「想定して準備してきた。言い訳はしない」

 スコットランド戦後の記者会見で、日本のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチは敗因を日程面のせいにしなかった。

 だが、豊富な運動量が持ち味の日本は後半、後手に回ってトライを量産された。これまでも中3日で試合を組んで予行演習し、1週間で3試合をこなしたことも。疲れた状態でプレーする経験も積んでいたが、死力を尽くした南アフリカ戦から回復できていないことは明らかだった。

 個人最多トライ数の世界記録保持者だった元オーストラリア代表のデービッド・キャンピージ氏は「前半の日本は南アフリカ戦のアドレナリンで走っていたが、後半は(今大会)初戦のスコットランド相手に完全に失速した」と指摘した。

 ▽足りない時間

 過密日程の影響は、体力面だけではない。2003年大会など過去のW杯で中3日を経験した元日本代表の元木由記雄氏は「移動もあるし、相手の研究を落とし込む時間も少ない。コンディション調整や相手への対策という面では不利。試合間隔は、1週間は空いている方がいい」と話す。

 リーチ・マイケル主将は「スコットランド戦は(対策に費やす)時間が少なく、思い通り準備ができなかった」と漏らした。

 ▽強豪に有利

 W杯は第4回に出場16チームから20チームに拡大し、第5回から各組5チームで争う方式になった。全チームが1試合を終えるためには、どこかが2試合をしなければならず、日程消化にむらが出るのは避けられない。不公平との指摘はこれまでも繰り返され、前回W杯で中3日を強いられたサモア代表の選手が「奴隷制度やアパルトヘイト(人種隔離)政策のようだ」と非難する事態も起きた。

 今大会でも地元イングランドが全試合で中6日以上と恵まれている一方、日本など数チームが中3、4日での試合日程を組まれている。

 次回の19年W杯は日本開催。競技の普及を目指し、初めて強豪国以外で行われる大会では公平感のある大会運営も大きな要素になるだろう。キャンピージ氏は「大会日程を見直すべきだ」と、対策の必要性を訴える。国際統括団体のワールドラグビー(WR)幹部は「過去の大会と比べて最もバランスの良い日程になったが、改善の余地はある」と話した。