【ウォリック(英国)29日=岡崎悠利】復帰へ視界は良好だ。ラグビーW杯イングランド大会に出場中の日本代表のNO8アマナキ・レレイ・マフィ(25)が、10月3日の1次リーグ第3戦のサモア戦の出場に意欲を見せた。23日のスコットランド戦での負傷交代後、初めて全体練習の一部に合流。次戦は出場可能だとアピールした。

 群を抜く突破力で日本の攻撃の要となっているマフィに笑顔が戻った。約2時間の練習後、日本語で「まだ痛い…うそです。ほぼ完璧。だいたい100%だよ」と明るい表情を見せた。公開された練習の冒頭のモール練習には加わらなかったが、相手との接触を伴う練習も再開。「メンバーに入るかは分からないけど、いけます」と言い切った。

 スコットランド戦での負傷については「打撲だった」と明かし、負傷箇所は、昨年12月に脱臼骨折した股関節まわりの筋肉と説明した。倒れた時は歩けないほどの痛みだったといい、担架で運ばれながら「これでW杯を抜けるんだと、これまでだ」と思ったという。今春に結婚した花園大時代に知り合った日本人の妻には、いつも「頑張れ」と励まされるが、負傷直後は「もういい。無理しないで」と声をかけられたという。

 試合後、病院でエックス線の検査を受けて「骨はセーフ」という医師の言葉を聞いて、前向きな気持ちを取り戻した。「これなら大丈夫。絶対治す」と誓った。毎日朝昼晩と3回のマッサージを欠かさず、1日でも早く全開で走れるよう努めている。サモア戦後に帰国予定の妻に「(勝利を)プレゼントしたいね」と意気込んだ。

 サモアに対しても闘志満々だ。型にはまらない動きが得意な相手にも「(トンガ出身の)僕も同じアイランダーだから分かりやすい。ボールを持ってスピードアップして、攻めたい」と頼もしい。すでに今大会の活躍で、海外の複数クラブからオファーが届いているといい「世界にアピールして、スターになりたいね」と笑った。その後すぐに表情を戻し、「今はジャパンに集中する。まだベスト8の夢に届いてない」と、目標の8強進出に向けて気合を入れ直した。

 ◆アマナキ・レレイ・マフィ 1990年1月11日、トンガ生まれ。5歳のときラグビーを始める。中学までWTB、高校ではフランカー。10年の花園大入学時に初来日。家族は両親と15人のきょうだい(姉5人、兄9人、弟1人)。小学生の頃はきょうだいの中で一番小さく、地元チームでうまくプレーできずに泣いたことも。好きなプレーはタックル。国籍はトンガのままだが、日本で3年以上継続して居住し、かつU20トンガ代表選出から3年以上経過しているため日本代表の資格を得た。