ラグビー日本代表FB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)が、W杯イングランド大会のドリームチーム(ベストフィフティーン)に日本から初選出された。国際統括団体ワールドラグビー(WR)が1日(日本時間2日)にロンドンで開催した年間表彰式で発表。都内でのトップリーグ開幕会見に出席した五郎丸は「日本のラグビーが認められた証拠」と喜んだ。また、日本が同大会1次リーグで南アフリカから勝利した試合が、ファン投票で「W杯最高の瞬間」に選ばれた。

 五郎丸が、世界最高のFBとして認められた。元選手や審判員ら5人の専門家がプレー内容やデータ、チームへの貢献度を審査して15人を選出。年間MVPのSOカーター(ニュージーランド)らと名を連ね「みんな有名人。世界から日本のラグビーが認められた証拠だと思う。僕だけじゃなくて日本代表選手がやってきたことが報われた形」と笑顔。この15人でのチーム結成の予定はないが「やってみたい。もしできれば自分のやってきたことを出すだけ」と想像した。

 大金星を挙げた南アフリカ戦のトライは「年間最優秀トライ」の6候補にノミネートされた。スコットランド戦の前半終了間際には、トライ寸前の相手を封じたタックルも印象的。ルーティンが注目されたキックを含め、日本の歴代最多を更新した大会通算58点は全体6位。PG13本は6位、ゴール7本は8位。記録にも記憶にも残るプレーが評価された。「初のW杯で世界で戦えるということは分かりましたし、手応えも感じた。日本や世界の子供たちだったりが、日本人が弱いという気持ちを変えることができたことの方がうれしい。それを証明したかったですから」。ワイルドなあごひげをさすりながら、満足な表情を浮かべた。

 連日、所属するヤマハ発動機の練習に100~200人のファンが全国から集まるようになった。東京などでの取材も多く体は休まらないが「毎日でうれしい。1人でも多くの人にラグビーを知っていただきたいですから」。サインや記念撮影にも可能な限り応える気持ちを、W杯後さらに強めた。

 今までは国内で力をつけてきたが、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のレッズ(オーストラリア)から獲得オファーも届いた。今季終了後、海外でプレーする選択肢も広がった。「目の前のできることを100%やるだけです」。国内外のラグビーファンに愛される五郎丸には、世界最高の選手であり続ける使命感がある。【鎌田直秀】

<五郎丸歩アラカルト>

 ◆生まれ 1986年(昭61)3月1日、福岡市生まれ。

 ◆サイズ 身長185センチ、体重99キロ。

 ◆競技歴 2人の兄の影響で3歳からラグビーを始め、小4からはサッカーも。福岡市立老司中時代はクラブチーム筑紫丘RCジュニアでラグビー、部活がサッカー。当時はJリーグ清水のファン。佐賀工で3年連続花園出場。早大で大学選手権3度制覇。ヤマハ発動機では昨季の日本選手権優勝。高校、U19、U21、U23など各世代別代表で活躍し、日本代表57キャップ。

 ◆趣味 車、釣り、マリンスポーツ。

 ◆好物 トンカツ(ヒレ)。酒はビールで始まり、焼酎へ。嫌いなものはレバー、スナック菓子。

 ◆名前 一郎丸から十郎丸の姓で、世帯数最多は五郎丸。全国で約1000人。由来は「丸」が開拓の意で、五郎という人が開拓した土地という説が有力。八郎丸と十郎丸はいない。

 ◆ポジション FB(フルバック)。15人の最後尾に位置し、守備では最後のとりでになる一方、攻撃にも参加する。