日本代表のLS北見は6-9で2連覇中のスイスに敗れ、金メダル獲得はならなかった。スキップ藤沢五月(24)、サード吉田知那美(24)、リード夕梨花(22)の姉妹とセカンド鈴木夕湖(24)で挑み、第8エンドに一時は逆転したが、第9エンドに2点を奪われ、最終第10エンドに同点のチャンスを逃し、力尽きた。頂点には届かなかったとはいえ、18年平昌五輪につながる重要な大会で堂々、世界と渡り合った。

 仰いだ天はどこまでも高く遠く見えた。1点を追う第10エンド(E)。藤沢のラストショットが、ハウス(円)をすり抜けると会場からはため息がもれた。その瞬間、日本の敗戦が決まった。相手と握手を交わすまで我慢していたスキップの涙は、吉田知に抱き締められるとあふれ出し、止めどなく流れ落ちた。「最後のショットはスキップのやるべき仕事。決めきれなかったのは私の責任」と敗戦を背負い込んだ。

 頂点まであと1歩だった。3連覇を狙う女王相手に序盤から大接戦を演じた。3点を奪われて3-5になった直後の第8Eでは、藤沢が難易度の高いショットを決め3点を取るなど、本場カナダの会場を興奮に包んだが、最後の最後で痛恨のミスが出て力尽きた。藤沢は「世界一になるにはもう1個違う壁がある。負けが無駄にならないように頑張りたい」と前を向いた。

 「世界一」を目指し、10年8月に五輪2度出場の本橋が地元北海道・北見にチームを発足させた。「甘い世界ではない」と言われたことは1度や2度ではない。日本選手権でも勝てない日々が続いたが、腐らず若手を引っ張り続けた。さらに、吉田知がソチ五輪5位の北海道銀行を抜けて加入した。藤沢も日本選手権を4連覇しながら五輪を逃した中部電力を辞めて、本橋に誘われ今季から加わった。チームカラーの「笑顔」の裏に挫折と悔しさを隠した「雑草集団」が、それを力に変え歴史を塗り替えた。

 平昌五輪に出場する10カ国のうち7カ国は今大会と来年の2大会での結果で得るポイントで決まる。今大会で日本は12点を獲得し、出場枠獲得へ大きく前進した。さらに、強豪を次々と撃破したことで一気にメダル候補にまで浮上した。藤沢は「世界選手権で結果を出してこそ五輪でも結果を出せる。やり直したい」。世界の頂へ、再挑戦を誓った。

 ◆LS北見 チーム青森で06年トリノ、10年バンクーバーの両五輪に出場した本橋麻里を中心に、10年8月に創設。競技が盛んな北海道の旧常呂町(現北見市)を拠点に「太陽の常呂っ子」を意味する造語「ロコ・ソラーレ」をチーム名に冠して始動した。14年まで日本選手権を4連覇した中部電力の司令塔だった藤沢五月が加入した今季は、同選手権で初優勝した。